00部屋その五
□永訣の朝
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なんでだろう。
なんで悲しいんだろう。
おかしいなあ。
人の死になんて、慣れているはずなのに。
「リカルド……」
抱き締めた腕の中。朝露に濡れた君の髪が輝いている。でも、対照的なまでに、頬には血の気がない。まるで紙で作った人形のようだ。
「死んじゃったんだ、ね」
リカルドが死んだ。
ああ、どうしてだろう。
誰かが死ぬことなんて慣れているはずなのに、涙が止まらない。
「リカルド、リカルド、リカルド……!」
おいて行かないで、と縋る僕が、確かにそこにいた。
リカルド死ネタ。