00部屋その五

□恋をしている
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「あ、みかどちゃーん!」
 私の姿を見つけた六条さんが、おーいと大きく手を振った。
「待ちましたか?」
 思わず駆け足になった私に、「まさか」と六条さんは微笑む。
「待ってる時間も、俺にとっちゃ大事な時間だからな」
「でも……」
「俺は女性との待ち合わせには20分前に到着することを決めている男だから」
「そうなんですか?」
「当たり前だろ? 言っただろ、待ってる時間も大事な時間だって」
 そのスカート可愛いな、ふわふわしててみかどちゃんにピッタリだ。ついでそんなことを言われ、私の頬が林檎のように染まる。六条さんはそれを見て更に喜んだ。
「みかどちゃん、可愛いなあ」
 お洒落な格好で着飾った、六条さん。彼がどうして私なんかに構ってくれるのか、それはちょっと分からない。私みたいな田舎娘、六条さんがいつも連れてる女の子たちと比べたら全然なはずだ。なのに、私と会う時は、六条さんは二人っきりで会ってくれる。それが嬉しくって、でも、同時に不可解な気持ちにさせる。
「……六条さん」
 どうしてなのか訊こうと思って口を開いたら、ぴたりと人差し指を唇にあてられた。
「!?」
 驚いて固まる私に、六条さんはにやっと笑って言う。
「ろっちーか千景で良いって言ってんだろ?」
「え、でも……」
「俺だってみかどちゃんって呼んでるわけだし。それともあれか? みかどって呼んだら呼んでくれる?」
「そんな! だって私と六条さんって、そんな関係じゃないですし……」
「あれ? 違うっけ?」
 俺は、と六条さんが私の手を取った。
「そういう関係のつもりだったんだけど」
「!」
 想定外の言葉に、口をぱくぱくさせるしかない。言葉が出ない私に、かわいい、と六条さんはまた言った。
「……可愛くなんか、ないです」
 やっとのことで絞り出して反論すると、そう?と首を傾げられる。
「六条さんがいつも連れてる人たちの方が、私なんかより何倍も可愛いじゃないですか」
「うーん、あの子たちも可愛いけど、みかどちゃんも可愛いぜ? それぞれ違った可愛さがある。俺はさ、みかどちゃんの可愛さも大好き。飾らないところとか、そうやって可愛く真っ赤になるところとか」
「……でも」
「信用ねえかなあ、俺の言葉」
 肩を竦めてそう言うと、六条さんは急に真面目な顔をして告げた。
「まあ、すぐに信用できるようにしてあげるけど」
「……六条さん?」
「せめて千景さんって呼んでくれよ。な?」
「……千景、さん」
「そう」
 よくできましたと笑って、六条さん……千景さんは、私の手を取った。
「じゃ、今からデートと行くか」
「え、あ、はい」
「名前呼びは妥協した分、途中で返したりしないからな」
 握られた手が、熱い。真っ赤に染まる頬を隠すように、私は精一杯答えた。
「望むところです!」
 ああ、私は今、この人に恋をしているのだ。








六帝♀でした。私はどうやらろっちー×にょたが好きらしいです。
みかどちゃんについてはたくさん妄想があるのですが、都会派ボーイ×田舎娘ということで六帝♀を猛烈にプッシュします。
しかし重要あるのかな^^

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