00部屋その五

□love,love!
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「ラッドの兄貴!」
 グラハムがそう叫び、レンチを振り回しながら駆け寄ってくる。その輝かんばかりの笑みに、思わず俺も唇を歪めた。
 可愛い弟分。
 そう表現するのがぴったりなグラハムに手を振ってやると、パーンと手を打ち合わせてくる。レンチはすでに腰に収まっていたので、抱き寄せて背中を叩いてやった。
「よぉグラハムちゃん」
「うわ、すげぇすげぇすげぇすげぇ本当に兄貴だ! 本物の兄貴だ!」
「オイオイ、俺が何人もいるってのか?ん?」
「いないっす!」
 ぎゅうぎゅうとしがみついてくる細い体が愛しい。頭をポンと叩いてやると、グラハムは俺から離れて、その場でくるっと一回転してジャンプした。ガチャリ、とレンチが音を立てる。
 勿論、奇声も一緒だ。
「ひゃっほぉ! うぃー!」
「んじゃグラハム、早速殺して殺して殺して殺して目玉も脳も腸も抉り出しに行くぜ。もっちろん、お前は破壊だけどな。良いよな?」
「らじゃ!」
 ビシッとふざけた敬礼をしたグラハムは、律儀にも俺の後ろを歩きだす。それを確認して、俺はスキップ。
 あぁ、本当良いよなぁ。
 こうやって、ぶっ壊れてイッちまったヤツが隣にいるのは。
 なんでこんなに楽しいんだ? テンションが上がって仕方がねぇ!
「ブチ壊す前に、腹ごしらえと行くか」
「俺、良い店知ってますよ」
「本当か? じゃあ案内しろよ、奢ってやる」
「まじすか!」
 ころころ、きらきらと目を輝かせるグラハム。
 狂気に満ちて子供のようで、自分が道化だということを考えもしないそれは鈍った強い光を放っている。
 工場から一歩出る前、そんなグラハムの頬にキスしてやった。





(え、ちょ、兄貴!)
(ほら行くぜ? 壊してぇんだろ?)
(へ、へい!)


















授業中に暇になって書いたもの。明るいラドグラは初めて書いた……。

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