00部屋その四

□Which is better for us?
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 今朝見た夢の話を僕がすると、ハレルヤは同じ夢を見たことがあると答えた。もう何度も見ているらしい。それなら細かい説明は必要ないと、僕はその夢を見て考えたことを口にする。あの夢の中の世界の僕らのように、同じ人間でいたかった。二人に別れてなんかいなくて僕らは一人で、同じ視界を同じ体を共有していたかったと。するとハレルヤは僕のものと同じ形の眉を真ん中に寄せ、俺は嫌だね、と答える。あぁなんと僕たちはそっくりなんだろう。それなのに僕たちは同じ体を持っていないから、同じ脳を持っていないから、時々相手の考えていることが分からなくなる。それは酷くもどかしい。今が丁度その状態だ。
「どうしてだい、ハレルヤ?」
「決まってんだろ、アレルヤ」
 そう言うと、ハレルヤは無理に笑って見せるような表情を顔の上に形作った。泣きそうだよ、ハレルヤ。僕がそう口にするより早く、ハレルヤの唇が僕のそれに重ねられる。乱暴で、だけれどとても優しい感触。頭を引き寄せた僕がそれを更に深いものにすると、途端に急いで唇を離し、僕から目を離してハレルヤは呟いた。
「別々の人間じゃ、こういうことはできないだろ?」
 でもハレルヤ、君はちっとも笑ってなんかいない。一体どうして?どうしてそんなに泣きそうな目で僕を見るんだい?君は今のままが良いと、そう言っているはずなのに。
 僕は君のことが分からなくなる時がある。今がまさにその状態だ。そんなとき、僕は悲しくて悲しくてしょうがないんだ。だって僕は君のことを全部知っていたいから。
 ほら、やっぱり一人の人間のほうがとても都合が良いじゃないか!











 

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