00部屋その四

□午前四時の感傷と口紅
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 女装。
 女装をすることになった。
 それはアロウズのパーティーに潜入しなくてはならないからで、僕は相手に顔が割れていなくて、更にガンダムマイスターは男ばかりだからだ。
 器を変えて女性体にすると、声も女の声になる。男の声も出せる。化粧を手伝うと言い張るミレイナにやんわり断って、僕はひとりで姿見を見つめた。
 時間は午前四時。そろそろ準備を終わらせなければならない。
 アイライナーを引いてマスカラを付け、アイシャドウを引く。チークを付けて、それから、
 それから、仕上げの口紅を引く。
 色は赤。髪色の濃さとドレスの色から弾き出すと、これくらいが良いらしい。そっと唇に付けたところで、ふ。っと貴方を思い出した。
 ロックオン。
 僕が初めから女性体だったら、貴方の僕への態度は変わっただろうか。紳士な貴方は僕をレディ扱いしたのだろうか。
 僕が女性体だったら、貴方は僕を愛してくれただろうか。
 復讐よりも、僕を選んでくれただろうか。
「ロックオン……っ」
 ぽろり、と口紅が手のひらから転げ落ちた。涙でマスカラが滲む。
 ああ、僕はなんて弱い。
 今だから言える。僕は貴方に愛されたかった。貴方に選ばれたかった。貴方とともに生きたかった。
「愚かだ、」
 昔の僕のように呟いて、口紅を拾い上げる。
 そう、僕は愚かだ。
 唇を紅に染めて、僕は鏡の中の自分を見つめた。
 僕の気持ちをどうか、どうかロックオン、どこかからエスコートしてほしい。 

 
午前四時の感傷と口紅






二期、パーティーの前設定で。
ニルティエも好きです。
お題はイーハトーヴ様( http://nanos.jp/xkrgx/) よりお借りしました。

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