00部屋その壱

□アレニル過去ログ
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「ごめん、ロックオン……」

 アレルヤがこうして俺を抱きしめる時は、大体が泣きたいときだ。

「気にすんなよ、アレルヤ」

 普段の彼は、まるで壊れ物を扱うかのように、俺のことを抱きしめる。
 抱きしめる、と言うよりも、包み込む、と表現するのが正しいような抱きしめ方で。

 でも、今は違う。
 強く強く、まるでしがみつくかのようだ。
 俺に、縋り付いているかのよう。
 
 アレルヤがこんな風になるのは、決まって任務を遂行した後。それも、武力介入でMSを撃ち落とした時などに限る。

 優しいアレルヤには、辛いのだろう。
 最初はそう思っていた。
 だから、少しでも良い、自分の存在で彼が救われることになれば良いと思っていた。
 人に甘えられるのは、嫌いじゃない。
 
「ねぇロックオン、僕は僕が怖いんだ」

 でも、任務の後にアレルヤがこうなる本当の理由が、今の俺には分かる。
 痛いほどに。
 アレルヤが俺を抱きしめるその何倍もの強さで、その理由は俺を締め付ける。

「ハレルヤは僕なんだ。…だから、僕もいつか、貴方を傷つけるような気がして……」

 まだ二十歳でしかない年齢には似つかわしくない、彼の抱えるもの。
 多分、このトレミーの誰より重い。
 人の過去の重さを比べることは好きじゃないし、それを重く感じるかは人それぞれだと思う。それでもそう思ってしまうほどに、アレルヤの背負うものは重い。

「心配いらねぇよ、アレルヤ。お前はお前だ」
「でも、僕は、貴方のことを愛してるから、」

 泣くことができれば良いのに。
 アレルヤは、俺の前で泣いたことがない。
 泣くのを堪えているんじゃない。泣けないんだ。
 
 過去の罪とその証とで雁字搦めになった心は、泣くことすら許さない。

「僕に、貴方を愛することが許されるんだろうか……?」
「許されるさ、アレルヤ。俺はお前に愛されたいと思うし、俺もお前を愛しているから」

 ならそう、俺の存在が少しでもそれを軽くすることができれば。
 俺はアレルヤじゃない。だから、アレルヤ自身を救ってやることもできない。できることと言えば、ただこうして抱きしめられることだけだ。
 それでも。
 それでも、こうして傍にいてやりたい。


(アレルヤ、)
(お前を救うことができれば、どんなに良いだろうか)
(それでも、それはお前にしかできないことなんだ)







 イベントで素敵なロク受けをゲットした結果、アレロクが書きたくなって、入学式の日の朝、急いで書き上げました。
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