00部屋その壱

□君の存在証明
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『誕生日おめでとう、アレルヤ』

 揶揄の色を含んだハレルヤの声が、頭の中に直接響いてくる。
 まるで目の前に立っているかのような錯覚に囚われるが、それは僕の脳内が作り出した幻であって彼は存在していない。
 気を逸らすかのようにそう考えながらも、そんなこと彼にはお見通しだろうに僕は答えた。

「ありがとう、ハレルヤ」
『まったく、お気楽だな。お前が自分の誕生日を祝っている間にも世界は動いてるんだぜ?』

 そのくらい知っている。
 でも、『今日』という誕生日はとても素敵なものだった。
 スメラギさんの祝いの言葉、ロックオンは今度地上に降りたら何か買ってくれると言っていた。勿論僕からも何か返すつもりだ。クリスやフェルト、あとはリヒティなんかも祝ってくれた。
 嬉しくないはずがない。
 こんな風に祝ってもらえたことは、僕という人間が生まれて初めてだから。

「それでも今日ぐらいは許してよ、ハレルヤ。誕生日なんだからさ」
『何言ってるんだ?アレルヤ』
「・・・・・・どういう意味だい」
『誕生日というのはこの体のであって、一つの人格が俺とお前に分かれたのはまた別の日なんだぜ?つまり、たとえ今日がこの体の誕生日だとしても、俺やお前の誕生日だとは限らない』
「・・・・・・なるほどね」

 完璧に、浮かれてる僕への嫌味だった。
 ハレルヤに嫌味を言われることは、正直言って他の誰に言われるよりも厳しい。
 だって、彼もまた僕なのだから。
 ハレルヤの言っていることは、僕という人間が深層意識の中で考えていることでもある。

「でもどうせ、僕や君という人格が生まれたのは何時なのか分からないんだろう?なら、この体の誕生日が誕生日で良いじゃないか」
『ハッ、おめでたい頭だな』
「そうかもね。・・・・・・でも、良いんだよ」

 こうして誰かに祝ってもらえると、僕は人間、そして生きているんだと実感する。
 それがたとえ僕の思い込みであろうと何であろうと、構わない。
 ただ、そう思えると言うことが僕にとっては特別だから。

「ねぇハレルヤ、君の誕生日も、今日ってことにしよう」
『ハァ?』
「ないよりはあったほうが良いじゃないか。君と言う人格が生まれたのかがいつか分からないんだったら、僕と同じで今日にしよう」
『自分にとって良かったことを他人にも押し付けか?お節介にも程があるぜ』
「それでも良いんだよ」

 だって。
 誕生日があるということは、君が此処にいるという証明になるのだから。

 『アレルヤ・パプティリズム』という人格の中に存在している君にも、せめて少しは存在の証を。


―アトガキ―

 初のマイスターオンリィィィィィィイイイイ!!!
 ただし!ハレルヤとアレルヤのみというめちゃくちゃ偏った小説だったりしちゃいました!
 誕生日の定義ってどうなるんでしょう、この人たちの場合は。個人的には二人の誕生日を一緒に祝いたいです。
 CPにしようと考えていたのですが、完全に+が入りました。この二人好きなんでそれでも良いかと思いつつやっぱり悔しい。
 誕生日当日はMYテストなんでお祝いできませんが、一足先にお祝いしときます!
 誕生日おめでとう、アレルヤとハレルヤ!

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