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□よるべ
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ならばそれは、ナルトのせいなのかと言えばそうではない。
ナルトがああして輝くのは、サスケのせいなのだから。
「お似合いだったのになぁ。」
やっぱり自分の出る幕は無いやと、サクラはうなだれた。
降り始めの雨音は、サワサワと音を立て、シカマルのため息を掻き消した。
ふと、目の前に射した陰に顔を上げる、その一瞬の間に、シカマルの腕が彼女の頭を優しく撫でた。
「…。」
暖かい感触はほんのつかの間だったけれど。
「お前が居なきゃ、ナルトはここまで頑張れねーよ。」
おためごかしの免罪符だったかも知れない。
それでも、人にはその都度必要な言葉があるのだ。
シカマルはそれを大きくは外して居なかった。
「…ありがと。」


けして、救いが無かったとしても。
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