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□蛹
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活きようと、思ってたんだ。
誰もが俺を見ないから。
何時だって俺の周りには薄い壁が有って、一枚隔てたその向こうに世界が広がっていた。
だから。
俺はこの壁を破ろうと、必死だったんだ。


サスケはさ。
似てる様で違ってた。
だって、お前は自分で世界に壁を作ってたんだもん。
俺とは違ってた。
だから無性に腹が立って、少しだけ安心したんだ。
俺が破りたくて必死にもがいてるこの壁をさ、お前は必死で維持しようとしてたんだ。
馬鹿みたい。
格好つけて。
本当は簡単に人と交われるくせに。
でも。
こっち側にお前が居たから。
何と無く一人じゃ無い気がした。
だから有り難う。


俺の手を取ってくれて有り難う。
お前が引っ張ってくれなかったら、俺は一人じゃ外に出られ無かった。
俺を見てくれて有り難う。
初めて。
俺を必要としてくれて。
有り難う。


「ナルト。お前が一人で背負う必要なんかないよ。」
自分は一人で引き受けようとしたくせに、カカシ先生は尤もらしい事を言うんだ。
「お前は火影になるんだろう?」
それがお前の夢じゃないかと。
困った顔して言ったんだ。
「有り難うカカシ先生。」
仲間一人救えなくて何が火影かと、そんな風に言ったけど。
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