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□嗤うなら嗤え
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 つまるところそうさ。
俺はずっとずっと、人の手の上であがいてただけなんだ。



 サスケは血まみれで立っていた。
立って居るのは彼だけだった。
よく見ればそれは全て返り血で、彼の周囲には数十の人間が倒れていた。

 どこか呆然として見えた。
彼は確実にナルトを振り返ったのに、その瞳は何も映していないかの様だった。
どう声をかけて良いのか、ナルトには解らずに。
ただ刃を交わすしかなかった。


 彼が何を思うのか解らずに、煩悶した夜があった。
彼の口から、彼の想いを聞きたくて、ナルトはずっと追って来たのだ。
けれども、それは無駄だったと気付いてしまった。
交える刃。
交える拳。
そこからは、何も感じられなくて。
ああ。
彼が、道を見失ってしまったのだとわかってしまった。


 サスケは。
何時だって道を探している様に思えた。
全て見失ってしまった中で、縋る物を探している様に思えた。
それが復讐の道だとしても。
おおよそ彼には似つかわしくない道だとしても。
それがなくてはただの迷子になってしまう。
そんな子供だったのだ。


 じゃあさ。
じゃあさ。
どうしてその隣に俺が居ちゃいけなかったの?
ナルトは何時だってそう思っていたのだ。
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