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□Somehow <サスナル+鷹の面々>
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この所、自分でも気付かぬ内に、ナルトの事をふと思い出しては、自分に何故か腹を立てては自分の中で消化しきれず、辺りに当り散らしている。
それもこれもみんな、ナルトが悪いんだ!
アイツが逢う度に、可愛くなってやがるからだ。
ウスラトンカチの癖に。

目下、俺に当り散らされるその標的にされるのが、水月と重吾だろう。
単に俺としては、憂さ晴らしといった所だが、死なない程度には手加減してやっている。

「あのさ〜、サスケ。幾ら、苛々してるからって、一々俺に当たらないでくれる?」

水月が部屋に入ってきて早々、俺がダーツと称して無作為に扉目掛けて、短刀を立て続けに投げつけたものだから、ビビッて尻餅を着きながら悪態ついている。

「っけ!ザマぁねぇな、水月。いい気味〜」

それを俺の横で見ていた香燐がおちょくる。
俺達が徒党を組むようになってからというもの、毎日香燐と水月のくだらない痴話喧嘩が堪えない毎日であるが、それなりに居心地は悪くは無い。
重吾はと言えば、何を考えているのか知らないがいつも無口で、うるさい香燐と水月のやり取りを見守っている。

俺達は先日、暁と言う組織と手を組んだばかりだが、木の葉潰しを企む奴等の話に乗った。
尤も全面的に信頼を置いている訳ではなく、俺は一族の恨みを晴らすべく、木の葉の上層部さえ潰せれば後はどうでもいい。
暁に協力すれば、戦力を提供する見返りに、尾獣を寄越すと条件を突きつけてきやがった。
暁は、ナルトの中の九尾も手に入れるつもりなのだ。
まだナルトが狩られていない事に、ホッと胸を撫で下ろし安堵する。
アイツは俺の獲物だ!誰にも渡さねぇ!


「部屋に戻る」

そう言い残して、その場を後にする。
一時とは言え、暁のアジトの一角に俺達個々に一部屋ずつ与えられていた。

ベッドに寝転がり、土壁の天井をぼんやり見つめる。
何も無い筈の其処に、ナルトの幻影を見ては溜息を吐く。

「ナルト…お前には俺を忘れろと言ったのに、俺はお前にだけは忘れられたくないとも思っている。俺が付いて来いと言ったら、果たしてお前は付いて来てくれただろうか?」

言ったからといって、今更どうにもならない事は分かってる。
何も無い空を、真綿を抱く様に腕を伸ばしてみる。
あたかも、そこにナルトがいると妄想し虚しい行為に耽る。



何時しか、俺は深い眠りに落ちていた。
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