書庫
□君と一緒に
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「やーぱり、此処にいたか」
カカシは木の上から声を掛ける。
「何か、用か?」
心底嫌そうな顔を向けるサスケ。どうやら、随分と機嫌が悪そうだ。
カカシはその理由に思い至り、ニンマリと笑う。
「いやぁ、休日なのにちゃんと修行とは、立派立派」
「馬鹿にしてんのか?」
邪魔すんな、とばかりにギロリと睨みつけられ、カカシは小さく溜息を付く。
「はぁ・・・、お前ねぇ・・・。まぁ、いいけど・・・」
カカシは地面に静かに降り立つと、手にしていた紙袋をサスケに押し付ける。
「何だよ?」
「んー、これナルトに届けてくんない?」
「はぁ?」
片目を吊り上げ、サスケはカカシを見やう。
「何で俺がっ!」
「何ででもいいの。とーにーかーく、ほらっ、早く!」
カカシに急かされ、サスケは眉間に皺を寄せたまま、それでも思わず駆け出した。
「一体、何だってんだ・・・」
空はうっすらと赤みを帯び、短くなった日が、沈みかけている。
走りながら紙袋をそっと開けてみる。ふわっと甘酸っぱい香りが広がる。
「蜜柑・・・?何でこんなもん、ナルトに・・・?」
さっぱり、わからない。
ただ、カカシの口調は普段通りおちゃらけたものだったけれど、その目はいつもとは違った。
一瞬、ナルトに何かあったのではと、心配になった位だ。
いや・・・。もともと、心配、していたのだ。
休日でも、ナルトはいつもの修行場に来る。
それはサスケも同じで。だから、必然的に、一緒に修行することに、なる。
それがここ最近は、当たり前のように、なっていた。
けれど、今日はいつまで経っても、ナルトは姿を見せなかった。
別に、約束をしていた訳ではないのだから、サスケが怒る道理はない。
それでも、イライラしていた自分。それは時間が立つにつれ、心配に変わった。
だから、正直、カカシにナルトへの使いを頼まれたののは、丁度良かったのだ。
ナルトに会いに行く口実が、出来たのだ。
サスケはその紙袋を抱え直すと、一気にスピードを上げ、森を駆け抜けた。
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