書庫
□君と一緒に
2ページ/8ページ
--------------------------------------------------------------------------------
「珍しいですねぇ、イルカ先生があわてているなんて」
イルカが火影邸に息を切らして辿り着くと、そこには先約がいた。
額当てで片目を隠し、さらに顔半分までもマスクで覆う人物。
「カカシ、先生?」
イルカはあからさまに顔を歪める。
「そんな露骨に嫌な顔、しなくてもいいじゃないですか・・・」
カカシがポリポリと片手で頭を掻く。
イルカはどうも、このカカシという男が苦手だった。
正直、何を考えているのか、わからないのだ。
「すみません。急いでいたもので・・・」
イルカは顔を伏せ、そのまま通り過ぎようとする。けれど、
「もしかして、五代目に用とか?」
カカシにそう言われ、思わず足を止める。
「んー、今行かないほうがいいですよ?ご意見番が来ていて、五代目はものすっごく荒れてますから」
面会は、無理ですね・・・。
そう言って、首を竦めるカカシ。
「そう、ですか・・・。それは、・・・」
丁度、よかった・・・。
イルカは安堵の溜息を付く。
実は、約束の時間を5分程過ぎていたのだ。
「イルカ先生が遅刻なんて、どうしたんです?」
「あ、いえ・・・」
イルカは少し躊躇しながらも、ナルトの家までコタツを持って行った経緯を話す。
「それを運ぶのに思ったより手間取ってしまって・・・」
そう言ってふと顔を上げると、眉間に皺を寄せたカカシの顔が映る。
「あの、どうか、しました・・・?」
特に、深い意味などイルカにはなかった。ただ、問われた遅刻の理由を口にしただけのつもりだった。
「やれやれ・・・」
カカシはそう言って大きく溜息を吐き、イルカの肩をポンポンと叩く。
「イルカ先生って、優しいですけど、何て言うか・・・」
その後の言葉は、イルカには聞き取れなかった。
カカシは片手を挙げ、ヒラヒラとそれを振ると、ボンっと煙を立てて消えた。
「何なんだよ。相変らずわからない人だなぁっ」
そう言いつつも、何故か、何かが心に引っかかった。
.