書庫

□君と一緒に
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「珍しいですねぇ、イルカ先生があわてているなんて」

イルカが火影邸に息を切らして辿り着くと、そこには先約がいた。
額当てで片目を隠し、さらに顔半分までもマスクで覆う人物。

「カカシ、先生?」

イルカはあからさまに顔を歪める。

「そんな露骨に嫌な顔、しなくてもいいじゃないですか・・・」

カカシがポリポリと片手で頭を掻く。


イルカはどうも、このカカシという男が苦手だった。
正直、何を考えているのか、わからないのだ。

「すみません。急いでいたもので・・・」

イルカは顔を伏せ、そのまま通り過ぎようとする。けれど、

「もしかして、五代目に用とか?」

カカシにそう言われ、思わず足を止める。

「んー、今行かないほうがいいですよ?ご意見番が来ていて、五代目はものすっごく荒れてますから」

面会は、無理ですね・・・。
そう言って、首を竦めるカカシ。

「そう、ですか・・・。それは、・・・」

丁度、よかった・・・。
イルカは安堵の溜息を付く。
実は、約束の時間を5分程過ぎていたのだ。


「イルカ先生が遅刻なんて、どうしたんです?」

「あ、いえ・・・」

イルカは少し躊躇しながらも、ナルトの家までコタツを持って行った経緯を話す。

「それを運ぶのに思ったより手間取ってしまって・・・」

そう言ってふと顔を上げると、眉間に皺を寄せたカカシの顔が映る。

「あの、どうか、しました・・・?」

特に、深い意味などイルカにはなかった。ただ、問われた遅刻の理由を口にしただけのつもりだった。


「やれやれ・・・」

カカシはそう言って大きく溜息を吐き、イルカの肩をポンポンと叩く。

「イルカ先生って、優しいですけど、何て言うか・・・」

その後の言葉は、イルカには聞き取れなかった。
カカシは片手を挙げ、ヒラヒラとそれを振ると、ボンっと煙を立てて消えた。

「何なんだよ。相変らずわからない人だなぁっ」

そう言いつつも、何故か、何かが心に引っかかった。



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