書庫

□墜落する刻
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けれどもそれは違うのだ。
そんな日々はまやかしで、あのガキどもとサスケはまるで違うのだ。
出来れば隔離して欲しい。
あの平凡に幸せな子供達とは引き離して欲しい。
飛び級して、早くアカデミーを卒業し、もっと苛酷な世界に身を置きたい。
兄の様に。
そこまで考えて、サスケの目の前は暗くなった。
憎い兄。
彼に復讐をと心に刻んだのに。
彼がアッサリと飛び越えた場所に、まだ自分は居るのだ。
頭が痛くなった。
ガンガンと大きな鐘を叩く様な音が、サスケの頭蓋骨の中で鳴り響いた。
あの日以降、ずっと鳴り続ける音だ。
2年間、この音に苛まれ無駄にした。
最近やっと落ち着いて、アカデミーにも復帰したと言うのに。
頭を抱え、サスケはその場に膝を付く。
じっと。
こうして音が止むのを待つしかない。
家までは後少しだった。
住む者も無くし、閑散としたうちはの領地のなかで、うずくまるのは何度目か。
こうして居たって誰も彼を救わない。
差し延べられる手は、此処には存在しない。

「お前っ!どうしたってばよ?!」

なのにこの日は。
小さな手の平がサスケの背を撫でた。
音が止むまでずっと。
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