書庫

□墜落する刻
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 放課後の校庭。
陽射しを遮る樹木の下で、ブランコが軋んでいる。
ボールを追い掛ける子供達の間を摺り抜けて、門の外へと向かうサスケは彼の姿を目に留めた。
その。
歪な笑顔が大嫌いだった。
不細工だと思った。
あれは、寂しさを押し付ける様な顔だ。
自分は寂しいのだ。
構って欲しいのだ。
そんな気持ちが見え見えで、欝陶しい。
気持ちが悪い。
あれは、弱者の顔だ。
そう思えば思う程、彼の事が嫌いになった。
目の端に映るだけで、彼はサスケの胸を悪くする。
拡がり始めた嫌悪感を振り払う様に、サスケは門の外へ歩みだした。
早く。
早く彼を意識の外に追い出したい。
でなければ、この重苦しい気持ちに押し潰されそうだった。


 アカデミー等ガキの集まりだ。
何も知らない幼児のたまり場だ。
何の悩みも無い子供達が、無邪気に忍になるとか宣って。
あろうことか、火影になるだなんて、下らない。
世間知らずのよまい言を耳にする度、サスケは社会を憎んだ。
そんな枠組みの中に居るしか無い自分に辟易する。
あの悪夢の様な日。
サスケの天と地が逆転した日から。
三代目の庇護により、普通の子供達と変わらぬ日々を送る自分。
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