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□仮面の二人
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 沈む太陽が稜線を染める。
高い空に雲雀が舞う。
非常に長閑な山間は、ただ静かに時を経るだけだ。


 金属と金属の触れる音が、澄んだ空気の中にこだまする。
烏と狐の面の木の葉の暗部が、三人の忍の相手をしていた。
人数は劣るものの、実力は暗部の二人の方が優勢だ。しかし、優勢であっても、簡単に勝てる程の実力差は無い。
終始圧している暗部が今一つ決め手に欠けるのは、大きな術を使え無いからだ。
強力な忍の術は、地形を変える。
美しい火の国の、豊かな森を傷付ける事を彼等は避けていた。
故に、戦闘は消耗戦の様相を体してきている。
抜け忍達は真っ向からは向かい合わず、逃げる隙を伺っている。
それが更に実力差を埋めていた。
このままではいずれ、追っ手の暗部の体力が尽きる。そう、抜け忍達は考えていた。



 「ふあぁ…あ。」
巨木の枝に腰掛けた狐面は、大きく延びをした。
彼はもう、小一時間程そこに座っているのだ。
「ナルト。眠いのか?」
傍らの烏面が彼を窺う。
「…ん。もう飽きた。」
肩を抱かれ引き寄せられながら、狐面はもう一度欠伸する。
彼等が腰を落ち着けた枝の下では、抜け忍達がいもしない敵と交戦中だ。
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