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□ほむらふぶき
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自分を愛してくれる友人達に。
傍らの彼に。
その眼差しを封じられた彼は、もう二度と離れないとナルトに誓った。
今は見る事の出来ないあの鋭く深い黒の瞳を、何時もナルトは思いだす。
彼がその約束を守る地位に就くのは簡単だった。
一度敵対勢力に身を置いた彼であるが、尾獸をコントロールするその才能が、彼の身を救った。
人柱力であるナルトは、自ら尾獸の力をコントロールするが、その力を危ぶむ古い世代により、彼はナルトのストッパーとされたのだ。
よって彼は、有事以外はその瞳力を封じられ、木の葉に仇為す時には命を絶つ咒を施され、ナルトの側にいた。
ナルトは、彼のその姿を可哀相だと思う。
彼は封印を為されてなお、通常の視力を持ち、生活にはなんの不自由もないのだが、それでも、飛びすぎぬ様羽根を切られた鳥だ。
ナルトと木の葉の鳥かごに閉じ込められて仕舞った、鳥だった。
別に、お前の側に居られるなら、これで良いと彼は言った。
けれどナルトは、何時も彼に罪悪感を持っていて。
彼の愛情を確かめる様な事をしてしまう。
我が儘を言って、甘えてみてしまう。
もう嫌だと彼が言うならば、ナルトはその封印を解いて彼を放して上げるのに。
側に居て欲しい気持ちと、彼を解放したい気持ちが入り交じり、ナルトはいっそ全てを手放したいと望む心境に至る。
けれどもそれも手放せない。
求め続け手に入れた物を、自ら手放す勇気が無かった。
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