Gift

□隠された愛情
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(…やっぱり可愛いな)

ふふふふふと不気味な笑いを浮かべながら紅黎深は持っていた扇を機嫌良く動かした。傍らには可愛い養い子(と百合)がいる。

その溺愛中の養い子はお腹がいっぱいになったせいかすうすうと気持ちよさそうに、午後の日差しを受けながら眠っていた。その寝顔をとても穏やかである。

(くあぁ、可愛い可愛い)

その様子をじっくりとっくり眺めながら紅黎深は李絳攸の頬に触れた。すべすべである。そうした後に自身の奥方たる百合姫を見て

「……ふっ」

鼻で笑った。なにがいいたい、貴様。もはや夫とか紅家当主とかそんなものは全てぶっとばしてギンギン睨みつけて目だけで問いかける百合姫に紅黎深は李絳攸が起きないように音は出さずに口だけを動かす。

「いや…貴様には到底望めぬすべすべの肌をしているな…と」

ばすん!!

紅黎深が言い切ったその瞬間に彼の顔には本来百合姫が寝るために使う枕がヒットした。この野郎。よくもそんなことを。

はっきりいって目だけで象でも殺せそうなほどの視線を紅黎深におくる。紅黎深は顔に当たった枕を勢い良く百合姫に投げ返して何をする!!と小声で(李絳攸を起こさないようにである)告げた。

百合姫はこちらもすやすや気持ちよさそうに寝ている李絳攸を起こさぬように。細心の注意を払って自業自得ですわと小声で告げる。真ん中には気持ち良さそうに眠る養い子を挟んで。

行き成り夫婦喧嘩の勃発である。ぽんぽんぽんぽん李絳攸の上を花瓶やら絵画やらが見事に飛び交う。二人とも養い子を起こさぬように器用に全てを受け止めながら相手にがんがん物を投げつける。
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