捧色の間5
□保護者参観の目的
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・・・―――にっこりと微笑む貴婦人は、とてもとても美しく、そして、不思議な迫力があった・・・
にっこりと、綺麗に微笑んだ彼女に、某暗黒公子のような“裏”は感じられない
なのに・・・
「ゆ、百合姫様!?どうなさったのですか!?」
半ばポカンとした劉輝、楸瑛、悠舜よりも早く、皆の思いを音にしたのはやはり養い子である絳攸だった・・・
動揺を隠せない――というか隠す気もない――絳攸とは対照的に、百合姫の微笑みは崩れない
「あのね、絳攸のお仕事してるところを見ようと思って」
平然とそう言ってから、ようやく思い出したように
「あ、申し遅れました。別に書簡など、勝手に見たりはいたしませんわ。ですから今日1日、絳攸のお仕事を見学させて頂きたくお願い申しあげます、主上・・・」
と、やっと王である劉輝に挨拶をした
「・・・・」
なんかやっぱり、紅尚書と似てるかも・・?
と劉輝と楸瑛は思った
王とか挨拶とか、全部二の次で、とりあえず絳攸・・ってところが・・・
「えーっと、な?百合姫、一応、宮城に許可なく入られるのは・・・「許可ならとりましたわ」
仮にも王の言葉を平然と遮り、変わらぬ優しい微笑みで、百合姫が告げた
「門番の方に『絳攸に会いに来た』と素直に言ったら快く通してくださいました」
ああ、なるほど、と悠舜でさえ思った
絳攸が黎深の養い子なのは周知の事実で、その絳攸に、紅を纏った女性が会いに来れば、少なくとも、その女性が黎深に近しい存在だとは容易に知れる
黎深の不況を買って命を危険に晒すぐらいなら、確かに城にくらいは入れるだろうと、納得出来てしまう