色彩の間

□李の花は変わることなく
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――捨て子のくせに――


久しぶりに言われた


それは事実だし、否定する気なんてない


ただ、“捨て子だから朝廷(此処)にいるのはふさわしくない”というその言葉が、

“捨て子は、名門・紅家の当主であるあの人の、黎深様の傍にいるのにふさわしくない”と言われたようで――


黎深様が紅家当主ということが、公になり、絳攸への風当たりは厳しくなった


黎深の立場を公にした、蔡前礼部尚書を罰した朝議の一件は、黎深が動いたのは、自分を貶め、そして“秀麗を貶められた”ためだと朝廷の人間は思っている


だから、秀麗への風当たりは、―― もちろん査問会での秀麗の受け答えがあってこそだが ――
ほぼ皆無となった


秀麗は紅家当主を動かすことができる、と証明した


それと同時に、絳攸への風当たりは厳しくなった


何故なら、紅家の血を引く秀麗が朝廷に入朝したことで、黎深の関心はソチラに移ったととらえられ、元々、捨て子の絳攸が高官の地位にいることをよく思っていなかった者達の不満が表面化した
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