捧色の間4

□君のお兄ちゃんは誰?
2ページ/17ページ

・・・―――はぁ・・・と、絳攸が溜め息をついた

劉輝・楸瑛・そして静蘭と燕青・・・


その場に居た全員が絳攸を振り返る

「どうしたのだ?絳攸」

心配そうに劉輝が問うと絳攸は、憂鬱そうに、
「黎深様を怒らせてしまったんだ・・・」


「「「「はぁ?」」」」

4人の声が綺麗にハモった


怒る?あの黎深が?

絳攸に?

他の者になら、何の疑問も湧かないが、絳攸に怒る?


隠してるけど、多分国一番過保護な親馬鹿かもしれない黎深が、絳攸に・・・?


劉輝達が全く同じことを思っていると、絳攸が、幼い子供のような、泣き出す寸前のような、そんな表情をする

「黎深様が『明日は出仕しなくていいから、邸で1日、姫の恰好で居なさい』って言ったから、『絶対に嫌です』って応えたら・・」

「応えたら?」

「黙りこくって、それから俺と口をきいてくださらないんだ・・・」

「やっぱり俺が悪いのかな・・」


悪くない! と絳攸以外の4人は、内心で叫ぶ


女装など、嫌がるのが当然だ


というか・・・黎深殿、それ、怒ったっていうか、絳攸に反抗されて拗ねたんじゃ?

と楸瑛は思う

静蘭は静蘭で、

多分、絳攸殿の女の子版をじっくり見たかったんでしょう?紅尚書・・・

と呆れつつ思った


でも多分、『嫌です』って言った時の李侍郎さんが可愛くて、表に出さないために口つぐんで、無表情装ったんだれろうなぁ・・・

これは燕青の内心の声

そして多分、どれも間違っていない


要するに親馬鹿なのだ

可愛くて仕方がないのだ

だから結論は、
『絳攸は本当に愛されてるなぁ』
という劉輝が思ったことで、大正解なのだが・・・

よりによって絳攸だけが、正反対の“答え”を勝手に出してしまい、そして本気で落ち込んでいる

「邸に帰って黎深様がまだ怒ってたら・・」
と泣きそうになっている――
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ