捧色の間4
□君のお兄ちゃんは誰?
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・・・―――はぁ・・・と、絳攸が溜め息をついた
劉輝・楸瑛・そして静蘭と燕青・・・
その場に居た全員が絳攸を振り返る
「どうしたのだ?絳攸」
心配そうに劉輝が問うと絳攸は、憂鬱そうに、
「黎深様を怒らせてしまったんだ・・・」
「「「「はぁ?」」」」
4人の声が綺麗にハモった
怒る?あの黎深が?
絳攸に?
他の者になら、何の疑問も湧かないが、絳攸に怒る?
隠してるけど、多分国一番過保護な親馬鹿かもしれない黎深が、絳攸に・・・?
劉輝達が全く同じことを思っていると、絳攸が、幼い子供のような、泣き出す寸前のような、そんな表情をする
「黎深様が『明日は出仕しなくていいから、邸で1日、姫の恰好で居なさい』って言ったから、『絶対に嫌です』って応えたら・・」
「応えたら?」
「黙りこくって、それから俺と口をきいてくださらないんだ・・・」
「やっぱり俺が悪いのかな・・」
悪くない! と絳攸以外の4人は、内心で叫ぶ
女装など、嫌がるのが当然だ
というか・・・黎深殿、それ、怒ったっていうか、絳攸に反抗されて拗ねたんじゃ?
と楸瑛は思う
静蘭は静蘭で、
多分、絳攸殿の女の子版をじっくり見たかったんでしょう?紅尚書・・・
と呆れつつ思った
でも多分、『嫌です』って言った時の李侍郎さんが可愛くて、表に出さないために口つぐんで、無表情装ったんだれろうなぁ・・・
これは燕青の内心の声
そして多分、どれも間違っていない
要するに親馬鹿なのだ
可愛くて仕方がないのだ
だから結論は、
『絳攸は本当に愛されてるなぁ』
という劉輝が思ったことで、大正解なのだが・・・
よりによって絳攸だけが、正反対の“答え”を勝手に出してしまい、そして本気で落ち込んでいる
「邸に帰って黎深様がまだ怒ってたら・・」
と泣きそうになっている――