色彩の間

□耳飾りが導く答え
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・・・―――出来上がってきた耳飾りの出来を確認して、黎深は珍しく、口元を隠すこともなく微笑んだ




・・・―――「絳攸、コレをお前にやろう」

と、まだ小さな絳攸の手に耳飾りを渡してやると、瞬く間に絳攸の顔が輝いた

その様子に黎深も満足して

「さて、それを付けるには、耳に穴を開けねばな」

と言った途端に、絳攸の顔色が変わった

「耳に・・・穴?」

「そうだ。コレはそうやって付ける。やめておくか?」


無理に付けさせても意味は無いし、耳飾りなら、大きくなってからでも、造りなおす必要もない


別に今、無理に付ける必要はなかった

絳攸は、耳飾りをギュッと握りしめて、黎深を見上げた

「コレ、黎深様とお揃いって、本当ですか?」

「最初に、揃いのモノをやると約束しただろう?」


そう言ってやると、絳攸は、黎深を見上げて

「今、付けたいです」
と、涙を浮かべながら言った


黎深は少し困ったように苦笑した

「泣くほど怖いなら、別に無理に今すぐ付けることはないぞ」

と、絳攸の頭を撫でた

それでも絳攸は、懸命に首を横に振った

「今、早く、付けたいです。黎深様と、お揃いの、耳飾り・・」


黎深は
「そうか」と、もう1度絳攸の頭を撫でた――



・・・―――「終わったぞ絳攸」

穴を開けて、耳飾りを付けてやった

怖くてきつく閉じていた目を開けた絳攸は、まだ、痛みと恐怖から、目に涙を浮かべていた

けれど、黎深が鏡を見せてやった瞬間に、絳攸の表情から、恐怖も憂いも消え去って、嬉しさを抑えきれない満面の笑顔になった


絳攸は、微笑むことはあっても、こんな風に満面の笑みは珍しく、それだけで黎深を満足させた


「ありがとうございました黎深様!!」


お揃いの耳飾りに、嬉しそうにお礼を言った絳攸は、この時、ひとつだけ、気付いていないことがあった

けれど黎深は、あえてなにも言わずに、扇の裏で満足そうに微笑った――
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