色彩の間
□李の花は変わることなく
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黎深が蔡前尚書に徹底的に報復したのは、実は絳攸に“一番見たくない顔”をさせたからで、秀麗のことは、後から付いてきたものなのだが、それを知る者はいない
もちろん絳攸自身も――
だから絳攸は、官位が上がってここ数年言われなかった“捨て子”という言葉に、予想以上に心が揺れた
邵可様から、黎深様が与えてくださった『李 絳攸』という名の意味を聞いた
だから今は『李 絳攸』という名を、とても嬉しく思う
けれど
『捨て子』と言われるのは怖い
『捨て子』というのは、「いらない」と言われたのと同じだから
誰もお前を必要としないと言われたようで――