色彩の間

□小さな大人、大きな子供
3ページ/5ページ

このあともいつも同じだ



絳攸は上体を起こし、黎深と百合姫の2人に抱きしめられて、今度は声を上げて泣く



絳攸が泣くまで2人は決して離してくれない
どんなに我慢しようとしても、黎深にゆっくりと背を叩かれて、百合姫にゆっくりと頭を撫でられると、どうしても耐えられない



そして絳攸は泣く


「怖い」と

「独りにしないで」と繰り返しながら、まるでそれ以外の言葉を忘れたかのように


それだけを繰り返して―



黎深の衣を必死につかんで、百合姫がつむぐ優しい言葉を聞きながら、ただ、「独りにしないで」と繰り返す。

それは、「独りにしないで」という言葉しか知らぬ子供のようで――



そうやって泣いている絳攸が眠るまで、黎深と百合は、“幼子”をあやし続ける
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ