色彩の間
□小さな大人、大きな子供
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このあともいつも同じだ
絳攸は上体を起こし、黎深と百合姫の2人に抱きしめられて、今度は声を上げて泣く
絳攸が泣くまで2人は決して離してくれない
どんなに我慢しようとしても、黎深にゆっくりと背を叩かれて、百合姫にゆっくりと頭を撫でられると、どうしても耐えられない
そして絳攸は泣く
「怖い」と
「独りにしないで」と繰り返しながら、まるでそれ以外の言葉を忘れたかのように
それだけを繰り返して―
黎深の衣を必死につかんで、百合姫がつむぐ優しい言葉を聞きながら、ただ、「独りにしないで」と繰り返す。
それは、「独りにしないで」という言葉しか知らぬ子供のようで――
そうやって泣いている絳攸が眠るまで、黎深と百合は、“幼子”をあやし続ける