その他著権駄文部屋3

□“悦”と“安堵”と合間の“欲望”
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「…一体」

何をしているんだ?
頭を
ぽこん

叩かれた感覚と
くっ
しくった!

悔しそうな捨て台詞が
遠ざかるのを耳にしながらも
それを無視し
此方の登場に驚く桃井タロウに思わず言葉を溢す
…どういうわけか
仲間同士で戦い始めているドンブラザーズの面々を偶々目撃してしまい
理由がどうあれ互いに潰しあってくれるなら
それはそれで構わないと考えていたが
…何時の間にか
食い入るように
その様子を見てしまっていた
その最中での
仕事中のタロウを狙うドンブラザーズの一人に気付き
つい
姿を現し
盾になってしまった。
…そもそも
タロウに必要は無かった気がするが
身体が“脳人”にある筈の無い“本能”で動いていた

「ソノイ…」
「…仲間割れでもしているのか?」

淡々と訪ねる
タロウは

「あぁ…実はな」

タロウの口から聞かされた言葉に
思わず馬鹿らしくなった
最近
姿を見せた“ドン”の名を持つ者が
自身が“お供”と言う立場が気に入らないらしく
だったら
自身に“一撃”でもいれることが出来れば
“対等”と認めようと
言う言葉から他の面々も
それに反応したらしく
今に至るらしい
…タロウらしい考えだ

同時に呆れた

「貴方は…」

時折
バカ
になりますね…
思わず溜め息を溢し

「下手をすれば…只ではすみませんよ?」
「…」

わかっているのですか?

軽く説教を混じらせる
此方の言葉を
黙って聞いていたタロウは
途端に
ははっ

笑いだし

「あんたのその“話し方”…久し振りに聞いた」

目を細め
微笑んでいた
あ。
自身の作った“線引き”が崩れていたことに
思わず言葉を詰まらせる
そんな此方に

「俺と“あいつら”は…こういう“形”の方が」

親しみやすい…
あんたが心配する事もないさ

タロウは
言葉を溢す
その表情は
一時に比べると穏やかだ
それが
少し悔しくもあり
安堵でもあった
会う度に
自身の“内”に不安を抱えている様で
物悲しさが目立って
彼は
一人
傷ついていないかと…
思う時もあったが

「(“今”は…関係無いことだがな…)」

頭では
“線引き”したと言うのに
何時までも
“未練”がましいことだ…
自身の愚かさと
彼の逞しさに
口許を緩ませる

「あんたも…“参加”してみるか?」
「?」

この“ゲーム”に
…え?
半ば
自身の考えに悦気味になっていると
タロウの唐突の
言葉に
一気に現実に戻される

「あんたは俺の“お供”になることはないが…もし俺に“一撃”入れることが出来たなら…」

俺を
好きにしていいぞ
その言葉は
大胆にも胸ぐらを掴まれ
耳元で囁きながら溢される

「殺すのも…奴隷にするのも…」

何をするにも…
あんたなら
余裕だろう?
そう囁かれた言葉に
脳人
としては有り得ない
“感情”が
一気に溢れだしそうになった
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