管理人駄文部屋

□1話 その出会いと、その願い(目的)
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《1》

「あ・・・あぁぁぁぁぁ!!!!!」
反響した自分の声に耳を塞ぐように身体を抱きしめるように抱え項垂れる
「また・・まただ・・」
呟く声は次第に嗚咽となって、目から溢れる涙は石畳で作られた地面へと落ちた
また
同じ夢を見た
いや夢ではない
「っぐす・・。じいさん・・。なんで。」
涙を浮かべながらも手の平に納まる紅い石を見た
宝石にも見えるコレは何なんだろう・・
されど少年にはその様な事はどうでもよかった
「あいつら・・絶対に・・絶対に・・」
力強く握り締め、奥歯をかみ締めた
「あいつらも・・あの女王も・・オレのオレの手で・・」
何かに憎悪を向ける少年は目から涙を流した


「あのお方が憎いか・・?ならば来るがいい・・あの方の下へと」


夢となった現実の言葉に奥歯が割れる程、噛み締めた
国の都合で全てを奪われ何もかも無くした自分にたった一つだけ手に入れる事の出来た“幸せ”・・
それなのにあいつらは・・・
あいつらは・・・・
手の平の中に納まる紅い石は光を放ち形を変えた
手の平に納まるものは紅い石ではなく紅い刀身の小さな剣だった
「言われなくても・・絶対に・・あいつらを絶対に・・・・」
オレの手で・・・
少年は小さく呟いた
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