管理人駄文部屋

□2話 二つの刃、交差する時
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《1》

「ルー坊!それは今夜のおかず!!逃がしたらいかん!!」
「へーい」
夜も近く薄暗くなった森の中、目を輝かせある方向を指差す少女の言葉にやる気のない返事を男は返した。
少女の指差す方向には、兎ほどの大きさで体型が猫のようにも熊にも見えるカラフルな魔物が此方を見ながら唸り声を上げていた。
「悪いね」
そう、男は言うと手をその魔物に向かって突き出し
「『水よ集まり矢となれ』」
言葉を紡ぐと男の手に水の塊が集まり、それが瞬時に氷の矢となると目の前にいる魔物を突き抜いた。
魔物はギギッと声を上げ絶命した。
「うっしゃ!おかずゲット!!」
少女は嬉しそうにガッツポーズを取ると今日はここで野宿をするのか夕食の仕度を始めた。
「ルー坊!そいつ持ってきて!捌いちゃうから!」
何時の間にか料理用の短剣を片手に持ち手をこちらに向かって招いていた、男は返事をし倒した今日のおかずを手に取り少女の下へ持っていった。
「サンキュウ!」
料理用に使用する板の上にそれを置き器用にそれを捌いていく、手馴れているな・・と男は感心しながらも
「なぁ。ルフィト」
「ん?」
言いたいことを少女、ルフィトに言った
「ルー坊はやめないか?」
「ん〜?いいじゃん。“ルガス”だからあだ名は“ルー坊”!」
「・・・」
男、ルガスは押し黙った
「あっそうだ!ルー坊!そこら辺から食べられそうな草とかあったら摂って来て〜!」
「草っていうなよ。」
「草は草だい!ウックネの肉だけじゃ腹の足しにはならんのよ!」
ホレホレ行った行った!と手で払われルガスは渋々ながら返事をすると薄暗くなった森の奥の方へと向かっていった。
「・・・」
ルフィトは調理の手を止め、ルガスが向かっていった方を見つめた。
あいつと旅してもう・・ひいふう・・2週間は経ってんのかな?
ルフィトはルガスと旅を始める前のことを思い出していた・・
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