管理人駄文部屋

□1話 名の無い男
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《1》

焦茶色の髪と瞳を持つ少年は、小走りである場所を目指していた。
自分の住む村からさほど遠くない隣町。
少年は、御使いを頼まれたのだ。
面倒くさいことを僕に頼むの止めてよね。
文句とため息を混じらせながらも少年は隣町へと進む。
おっ?アーチが見えてきた。
目線の先には風化の影響かボロボロで今にも崩れそうなアーチが見えてきた。
いい加減に直せよな。危ないじゃん。
アーチを見上げながら町の中へと少年は入った。
さて、さっさと用事を済ませて・・・?あれ?
少年は足を止め、何かに気づく。
静かだな・・。何だか、寒いし。
少年は腕を擦り、寒さで身体を震わせると町全体を見た。
はて?、誰もいない・・?
小さい町ながらも自分の村以上に活気が溢れている町で
こんなに静かなのは、寝静まる夜ぐらいなもの。
しかし、今は太陽が晴れ渡った空の真上に差し掛かろうとしている。
どこいったんだろ?町の人達。
辺りを見回しながらも、お使いの用事で来た事を思い出し、少年は目的地まで歩き出す。
あっれぇ?誰もいない・・・つーか、寒い。寒いんですけど。
吐く息が白い。時期的には夏に差し掛かろうとしてる頃だ。暑いのはわかるが、寒いのは、おかしい。
んー・・んっ?
ふと、少年は何か音を耳にした。
何かがぶつかる様な、金属が地面に落ちたようなあの音。
気のせい・・?あれ?違うな。
少年は音の聞こえた方に目をやる。何もない・・・。
だが、何かが動いた気がする。目を凝らしジッと音のした方を見た。
んー・・・・・!?
一瞬、少年の目に映った。
何も無い場所で誰かが誰かと戦っている光景が、そしてその場所で町にいる筈の町の人々が氷付けになっている、ところを・・
なっなっなっ???
少年は目を擦り今見たのは何なのか目をぱちくりさせた。
なっなんですか?今のは!!!!!!
少年は声ならぬ声を上げた。
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