管理人駄文部屋

□4話 甦る存在(きおく)、動き出す者達
1ページ/28ページ

《1の1》

そこは、自分達のいる世界でもあるが同じ世界ではない。
正確には世界は同じでも存在する場所がまったく異なる場所。
“空間”という壁の向こう側に存在する世界・・
その“空間”の向こう側に作られた場所で、あることが着々と進められていた。



「刀が・・」
隻眼の男が自らの腰に携えた武器を眺め、片方しかない瞳を見開く。
刀はそこにつく宝石と同じ色の光を蛍のように発しているからだ。
「きゃーん!双武ちゃん!お目覚め?」
「ガーベラス殿」
後ろから自分を抱き寄せるように掴まれたが、その人物の行動には最近なれてきたので気にはならなかった。
「刀が・・」
「あらあら。私もさっきから疼いてるけど、それはあれよ。お姫様のお・め・ざ・め♪」
「姫?」
「“皇子”とお呼びしないとディバスさんが怒りますよ。ガーベラスさん。」
2人の人物が会話している最中、奥の暗闇の中から一人の男が姿を現した。
その男は白を強調した鎧を身に付け、だが、その鎧にはまるで無数の血を浴びたような模様が刻まれていた。
「確かあなたは・・ロード・・」
「ガイアで宜しいですよ。双武さん。」
男は、どこか冷たい微笑を隻眼の男に向け
「先程、フィルビさん達に聞きましたが・・レエジさんが起きたとか。」
「えぇ・・起きたみたい。」
隻眼の男の代わりに今だに、抱きついている女口調の仮面の男が答えた。
「今、不機嫌だし近づかない方がいいかもね。挨拶ぐらいしに行くけど。」
ため息混じりにそう言った。
「俺も、話にだけは聞いていますが・・姿を拝見したことは・・。」
「後で、共に参りますか?双武さん。私もここに来てから一度もお会いしたことありませんし・・」
「まー、2人とも新参者だもの。ゼガルちゃんとあの、グーガルドもだけど。」
仮面の男は、そう言うと。
「多分、姿ぐらい見せるわよ。ディバスちゃんが留守にしてるし。」
「そうなのですか・・?」
「・・・」
「そうなのよ。用事があればディバスちゃん経由だもの〜♪」
「だから、姿を拝見することは無かったのですか・・」
「そう♪」
「・・・あの」
白い鎧の男は
「いい加減に双武さんから離れませんか?後、双武さん慣れるな。」
少々、青筋を浮かべ白い鎧の男はそう言った。
言われるまでも無く。仮面の男は隻眼の男に抱きついたままである。
「いや。」
「嫌じゃない。」
「私のラブタイムを邪魔しないで!」
「ラブタイムとか言わないでください!」
「はっ・・はは。」
「ずっと触れなかったから今から触っておくの!」
「馬鹿なことはゼルバスさんだけにしておいてください!!」
「あれと一緒にしないで!」
白い鎧の男と仮面の男の言い合いに半ば呆れながらも隻眼の男は
「そういえば・・ディバス殿とゼルバス殿は・・」
「「・・・」」
何故か同時に黙る2人。
「?」
「待機しろって言われてるからここにいるけど・・」
「まさかゼルバスさんと“外”にでるとは・・ディバスさんも肝が据わってますね。」
「?」
白い鎧の男と仮面の男は同時にため息を付いた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ