その他著権駄文部屋1

□例えそれが・・
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『未来が消える』

そのことを知ったのは、偶然だったのかそれとも・・


「桜井さーん!!」
「?良太郎君」

自分に手を振りながら走ってくる男子高校生、彼は僕のこ・・大事な人の弟で

「走ったら危ないよ!」

ちょっと運が悪い子で・・あっ、こけた。

「あいてて・・」
「大丈夫かい?」

手を差し出せば、照れくさそうにその手を取って起き上がる。
大事な人の弟だけど僕にとっても大切な弟・・

「桜井さんは、もう姉さんの所に行ってきたの?」
「あぁ、さっき行ってきたよ。あっ!」
「?」
「良太郎君を送るついでにもう一度愛理のコーヒーでも飲もうかな」
「姉さんのコーヒーのついででしょう〜?」

意地悪そうな笑みで顔をのぞかれ思わず顔が紅くなるのを感じる

「大人をからかうのは卑怯だよ!!」
「えへへ〜」


こんな当たり前で、他人から見れば平凡でつまらないと言われるかも知れないけれど
僕にとっては大事で大切な時間・・

そう、あんなことを知らなければ・・


「ん〜」

大きく背伸びをする。
長い時間椅子に座り作業をしていた所為か身体中硬くなってしまっていた、軽く腕を回し身体をほぐす。
すると身体中がポキッと音を立てる

「いたた・・もう歳かな・・」

身体を擦りながらふと、天井を見上げる
そこには夜空のペイントがしてある。
自分は星を見るのが好きだから・・何が自慢できるかと言ってもこれといって自慢できるものはないけれど
子供じみていて、誰かにそんな事言えば笑われたけれど
彼女や彼だけは笑うことはなかった、ただ、僕の話を聞いて微笑んで。
楽しそうにしてくれて僕もそれが嬉しくて・・
何時から、天体に興味が湧いたんだろう・・確か、彼と同じくらいの年の頃だったっけ

『あの・・・』
「?」

ふと、声がした気がした。
部屋の中をキョロキョロと見回す。
部屋の中はお世辞とは言えないほど汚くて・・

「気のせいかな?」

座って作業してた所為か、空耳だったのかな・・そう思うことにして、机に向かう。
愛理との婚約も決まったのだから部屋も少しは片付けないとな・・
そして気づいた。

「?砂」

作業していた机の上に砂丘のような決めの細かい砂が落ちているのに

『あのー』
「!!!!???」

その砂が突如、形を成し自分に話しかけてきた。
思わず、驚き椅子から転げ落ちる

『あぁ!!だっ大丈夫ですか?!』
「なっなななな!!」
『驚かすつもりはなかったんですけれど・・』

形を成した砂は、ニュッと自分の前に移動すると大体成人男性ぐらいの大きさで、だが、何故か下半身が天上からで上半身が床から出ている

「!!??」

驚き目を点にしている自分にソレは

『あー。初めまして。俺はこう見えても“イマジン”と言います。』

と挨拶をしてきた。

「・・・・」

思わず、驚いていた自分に唖然としてしまう。

『さっそくですが、あなたの望みを叶えたいのですが・・何かありますか?』
「えっ?」

思わず声が出る。
いきなり現れて自分の望みを叶えたいとか言う始末・・何なんだろう・・コレ。

「望み?」
『はい、望みです。』
「・・・」

拍子抜けしてしまう。
そんなこといわれても・・僕の望みは、もう叶っているようなものだし・・

「あの、一ついいですか?イマジンさん?」
『あぁ、はいどうぞ。あっそうだ、イマジンっていうのは人間で言う種族とか言うものみたいで名前ではないので・・』
「そうなんだ。」

やけに物腰が低いような

「その、もし、僕があなたに望みを叶えて貰ったとして、あなたの見返りって何ですか?」
『えっええ!!』

何故かその“イマジン”は取り乱す。
普通、こんなうまい話があるわけは無いだろう・・
おとぎ話の中でも悪魔が願いを叶えたら命を貰う・・
そんなのはよく聞く話だし。
もしそうなら命は渡せないし・・絶対に嫌だ。

『うぅーん。えっとですね・・記憶の扉の開放です』
「記憶の扉?」

その“イマジン”はこう言った。

強い望みの過去と現在を繋ぎ時間を移動すると・・
なんの為に
そこから、先を聞くことはその時は遠慮した。
何だか“イマジン”が悩んでいたようだから。
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