その他著権駄文部屋1

□青い花の黒き靄
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あれから、どれ程立ったのか・・

幼い頃の僕は兄さんに守られてばかりで

何時も、泣いて

でも、兄さんに笑いかけてもらえれば嬉しくて

兄さんに喜んでもらいたくて絵を描いて

でも、僕を守ろうと傷つく兄さんを見たくなくて

僕も戦うと言うと怒る兄さんが怖くて・・

だから何も出来なくて・・

でも今は



「どうしたんだ?レツ?ジウジウだ!」
「えっ?」
急にジャンにそう言われ思わず、目を点にする
「ジウジウ?」
「ジャン語で多分ウジウジしてるってことですね。」
ランがそう兄さんに言う
「ウジウジ・・」
「レツ!!ジウジウ!!ジウジウ!!」
「・・・・ジャン。」
テーブルに置かれている今日のおやつの肉まんを一つ取り
「ジャン。これは肉まんだね。」
「?おう!!」
「じゃぁ・・」
とってこい!!!と窓の外にぶん投げた。
「あ!!肉まん!!」
「!?ジャン!!レツ食べ物粗末にしたら駄目でしょ!!」
肉まんを追いかけ外に出たジャンを追いかけランもまた外へと向かう。
今はマスターも美樹さんも居ないから兄さんと2人だけ。
「・・・ここ何階だと思って・・」
「大丈夫だよ、兄さん。ジャンは野生育ちだし、コレぐらいの高さから落ちてもかすり傷程度だよ。」
何時もの事と言いながら笑う、兄さんは少し呆れているようだけれど・・
「レツ。」
「なんだい兄さん?」
「何か悩んでいるのか?」
「えっ?」
兄さんからそう言われドキッと胸が音を立てた。
「ジャンもああ言ってたし、ここのところ落ち込んでいるような・・」
兄さんに心配かけるつもりはないんだけれど・・・
「そんなことないよ。悩みって言ってもちょっと絵がスランプ気味なだけ。これはよくあることだから。」
「そうか、ならいいんだけどな。」
そういいながら兄さんは肉まんを頬張る。
この気持ち悟られるわけには行かないから・・
「兄さん。」
「ん?」

昔は、たくさん考えたどうすれば兄さんを守れるのか・・
どうすれば

「食べかすが頬についてるよ」
「まじで!?・・参ったぜ!」
照れながら頬を拭う仕草をする兄さん・・くす。そっちじゃないよ
「こっちだよ」
「えっ?」
拭う仕草をする方とは反対側の頬に顔を近づけペロリと舌を這わせる
「取れたよ。」
「えっ・・あぁ、サンキュー」
「僕は屋上でスケッチでもしてくるよ!2人が帰ってきたらそう言って置いてね。」
そう伝言だけ残すと、少々唖然としている兄さんを後にした。


現在(いま)の僕はあの時の兄と同じくらいで

もう、守られることも無く

泣くことも無く

仲間が出来

兄を守れる様にもなった

でも

どうすれば

あなたを自分のものにできるのだろうか・・

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