その他著権駄文部屋1
□切れ者と毒の星の救世主
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「…っ」
ぱちっ
と
目が覚めた
同時にその空間に“音”が鳴っているのに気付く
珍しいと感じると同時に煩わしいと思った
応えるべきだが
視た夢の所為だろうか…
そのまま無視を決め込もうとしたが
考えとは裏腹に尾は今だに鳴り響く音に反応し
音が鳴る、通信回線が繋がる呼び出しスイッチを押していた
『ひっさぁ〜♪ひっさ〜♪久しぶり♪ぶり♪元気にしていたかい?』
回線からの声に眉間に皺が寄る
夢の内容が内容だっただけに不快度が増す
「…あんたの眉間に毒を打ち込みたいぐらいには…元気だな」
『え?!』
狼狽する声に溜息を混じらせながらも
「あんたにそれが出来たなら…俺があんたに仕える義理はない」
否定はせずに本音を洩らす
よかった♪
ぼくちんびっくり!
などと返してくる輩に何故適わないのかと苦々しく思いながらも
「何の用だ?」
と
スティンガーは言葉を溢す
定期連絡は済ませている筈だが?
と付け加えると
君は真面目だからぼくちん助かる♪
の発言に
…苦労してるな確実に
と
先程会った“救世主”達に思わず同情してしまう
『どうだった?ぼくちんのサプライズ♪♪』
中々やるでしょ〜
ぼくちん♪
…絶対あんたじゃねぇよ。其処まで集めたの
の
言葉を飲み込み
「…弱い」
毒針で一撃などありえない
望む感想を述べた
『ひどっ?!』
「なんだ?俺はあんたが聞きたがっていた感想を述べてやっただけだが?」
まぁ…
勝負は邪魔されたがあの赤い奴は歯応えがありそうだったな
『もぅ〜ぼくちんが聞きたいのはそう言うのじゃなくて〜』
救世主がもう八人も?!
司令すごい!
とか
司令のダンスかっこいい!
とか
そう言うのなのに!
激怒ぷんぷんまるだよ〜!!
…意味がわからん。
最後の方が得にな。
「…用件がそれなら切るぞ。面倒臭い。」
『一蹴?!』
ゆらゆらと尾が揺れる
ただの通信で見えている訳では無い筈なのに
ちょ!
ま!ま?!
と
止めに入ってくる
『まだ言ってないよ〜』
「なら…さっさと言え」
付き合うのも面倒だ
身体の向きを変え
再び眠りにつこうとしたがまだ話を続ける気なのか止めに入ったので
仕方ないと思いながらも耳だけは傾けてやることにした
『チャンプに…アントン博士の造ったアンドロイドに誤解を説いておこうかと思ってね』
「…」
その言葉に一瞬肩が震えたが思わず鼻で笑う
今
初めてあんたが上に立つ立場に見えたな
と
笑うと
「…間に合わなかったのは事実だ。かまわない」
『アントン博士には申し訳ないことをした…我々が協力を求めなければジャークマターに命を奪われる事もなかったからね』
「…あんたが気に病むことは一つもないだろう…」
話したところであのアンドロイドが納得する訳もあるまい
ゆらゆらと尾を踊らせ
その時の事を思い出す
しかし
思い出した所で“あの時”の何かが変わる訳ではない
「あの人物も…戦うと決めた時点で自分自身が危うい立場に立つくらい理解していた筈だ」
『…君がそう言ってくれるなら…私も少しは心が軽くなるよ』
「それに…あのアンドロイドが俺に向ける感情はただの八つ当りだ」
『ほぉ…』
「己の力の弱さに嘆き守りたい者を守れなかった憤りを顧みる事なく反省する事をせず他者の責任にしているだけのな」
『…手厳しいね…君は』
「…俺も…そいつのことは言えんがな…」
『?』
そう…
俺も結局は何も言えない…己の弱さを直視できず
ただ
“目の前”に居た存在に憎しみを向けることしか…
『どうしたんだい?スティンガー』
「何も…その件に関しては無用だ」
あんたが気にすることもない
其処まで言うとスティンガーは目を閉じ
「…切るぞ」
『あ』
と
返事を待たず
通信を切った
ふざけているのか…
身勝手なのか…
だが
「(束ねる者としては…嫌いではないな…)」
それに…
他の奴らも…
うとうととし始めた意識を違う呼び出し音が妨げた
※スパイという立場はゆっくり寝れもしない(笑)