その他著権駄文部屋1

□“真”のゲームクリアを視る為に
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「「「「!!!!」」」」

耳を裂くような悲痛な叫びが
その空間に響き渡る
悲鳴を上げるモノとは違い
ただ
その光景を
静かに目を細め
恍惚と見つめる者が居る
傍らに立つ者は
その空間に響き渡る悲鳴に耳は抑えはしないものの眉を顰ませる
その者はとても優れていた
生まれ出でる以前からその者は“特別”なのかもしれない
知り得えぬ事の無い知識を持ち
如何なるモノさえも凌駕する能力を持ち
誰にも負けず劣らずの力を持ち
全てにおいてその者は優れていた
故に
退屈だった
どんな事をしても満たされはしなかった
そんな時を過ごし
その者は
ある事に“楽しさ”を覚え初めた
気付いたのは偶然だった
それは
自らの
知識
能力

を使った“ゲーム”をする事だった
そして
その者でも安易に分かる
他の命を蹂躙する
“ゲーム”だった
その者は
一つ
また
一つ
自らの全てを使い遊んでいった
しかし
そういって遊んだ星が十を迎える頃には
流石に
飽きた
だが
それと同時に
支持される様になった
同じような考えを持つ者が
自らに心酔する者が
その者の傍に集まりだしたその者は
そういった者を見て
今までどうして気付か無かったのだろうかと驚いた
自らが行うから
つまらない
のだ
自らとは違う者が“ゲーム”をすれば
それを傍で眺めれば
その思惑は当たりだった
だが
“遊んだ”星が五十を過ぎた頃
退屈を感じ始めた
飽きはしない
退屈なのだ
様々に駆使される“ゲーム”
自らが行わないことによるジレンマや憤り
それらさえも楽しく滑稽で
退屈なのは
“ゲーム”を“される側”簡単に
あっという間に
“ゲーム”が終わってしまうのだ
そして
毎回
同じなのだ
同じ悲鳴
同じ姿
味気ない
飽きが来る
退屈を感じる
ああ
つまらない
そう感じ初めて
遊んだ星が七十を越えた頃
僅かながらに
“ゲーム”をされる側に変化があった
変わらない中に
僅かに感じた変化
若干の抵抗は何時でもあった
だが
その程度は直ぐに終わった
しかし
終わる寸前
その幾度かに
抵抗の“刄”が
その者の傍まで来た事があった
それは直ぐに終わったが
その者は
その事に
初めての昂揚感を覚えた
ああ
楽しい
愉快だ
その感情の中で
ふと
己自身が“真”に求めている“モノ”は…
その者は
本能的にそれを悟った
そして
其処からは
意気揚揚に
今まで以上に“ゲーム”にのめり込んだ
傍で視
傍で語り
己自身も参加して
僅かながらにその“感情”を味あわせてくれた者に感謝の意を込めて
“贈り物”を渡し
そして
遊んだ星が三桁になろうとする頃
その者は
感謝しきれない程の昂揚感に満たされる
今までとは違う
“贈物”さえも凌駕する下等な生命体…
いや
それは失礼だ
その者は
遊ぶにつれ
そう感じる様になった
“彼ら”は
素晴らしい
今の今まではきっと“彼ら”に
出会う為の前菜だったのだろう
“彼ら”に
その者は興味を抱いた
“彼ら”を調べ
“彼ら”に失礼の無い様に
“彼ら”とこれからも遊ぶ為に
その者は
“彼ら”に感謝の意を込めて“最高級”の贈物を渡す事を思いついたのだ
きっと
“気に入ってくれる”と言う確信を持って…


「「「「!!!!」」」」

その空間が
ガコン

鈍く低い金属音を放った後
最初から何もなかったように
静寂に包まれる
その者は
堪えきれない微笑をどうにか堪えながらも

「ナリア…“此処”が汚れてしまう前にゴミの掃除を頼むよ」

傍に立つ者に伝えれば
傍に立つ者は

「はい」


一礼すると指を鳴らした
この空間には
その者と
その者の傍に立つ者
そして
かつて
ジューマンと言われた
犀、鰐、狼の姿をした三つのモノが居たが
現在はジューマンの命と言える
ジューマンパワーを全て奪われ
その者達が“ゴミ”と認識するモノと化した存在と
人間と言われる一つの中で“適合者”とその者達が名付けた
全く反する存在の命を宿せるモノが居た
だが
既に
その“人間”さえも其処には居ない
指を鳴らした瞬間に三つのゴミの真下に穴が開き
繋がれた鎖と共に吸い込まれるように落ちた
この空間の外は
星の瞬きさえ飲み込む闇
ゴミとなった三つは
かつての姿に戻る事なく闇の彼方へと葬りさられた
そして
最後の“一つ”は
その者は項垂れる“それ”の顎を指で捕らえ上を向かせると
“それ”の質を確かめる様に
指でその輪郭をなぞる

「さあ…目を開けてごらん…」

“それ”にその者は言葉を掛ける
“それ”は己以外の相反する“命”の存在の影響か
苦しそうに眉間に皺を寄せ荒い息を切れ切れに吐いていたが
その言葉にゆっくりと目を開けた
混ざりあう“命”の光がその者の瞳に映る
その者は
もう微笑を堪える事が出来なかった
高らかな笑いがその空間に響く

「フ…フフフ…中々良い仕上がりだ…そうだ…君に“名前”を付けてあげよう」

ザワールド
私に“真”のゲームクリアを見せてくれる最高の“玩具”だ
静まり返った空間に
ただ
居るのは
数多の“命”を使い“遊戯”を楽しもうとする者
その者に心酔し従う者
そして
“最高の玩具(ザワールド)”と名付けられた
玩具だけ
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