日朝キッズ駄文部屋

□迷う事などない筈なのに
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「あたし達あんたの事信用してないから」
「・・・ドアには鍵を掛けさせてもらう」

子供差ながらの辛辣な言葉に小さく笑みを零し

「・・・あぁ。」

と返事を返した
自然とドアが閉められ
一瞬
静寂が部屋を覆う
笑い出したい感情を抑え

静かに
息を吐く
此処までうまくいった
我ながらの“演技”も拍車が掛かっていると感じる
感傷に浸っている場合ではないな・・
静かに腕についた装置に手を触れようとして
ドアが開いたことに身を竦め咄嗟に装置を隠した

「あのさぁ・・」
「・・・・。」

子供の一人
自分にとって忌々しいあの少年、リュウタが姿を見せた

「・・・なんだ?」
「確かにあんたは信用できないけど・・。」
「・・・」
「あんたが生きてて嬉しいよ。俺。」

屈託のない笑顔
その言葉に
その姿に
目が点になり
言葉に詰まる

「とりあえず、それが言いたかっただけ。部屋には鍵掛けとくからな!!」
「・・・」

そう言ってドアは再び閉められた
静寂が部屋を包む
思わず空笑いが漏れベッドに身を沈めた

「馬鹿げている・・・」

馬鹿げている
馬鹿げている
だが
何かが湧き上がり
何かが苛立つ
数分の事の筈なのに
数日も費やしたような錯覚を覚えた
身を起こし

「・・そうか。」

と呟き
装置のボタンを押した




(迷う事など端から無いだろう・・・。)
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