錬金・調合駄文部屋
□それは永遠の・・
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《それは永遠の・・》
「頂いてしまった。」
風呂上がりの髪を丁寧にふきながら、机に置かれた花瓶に活けた一輪の花を見た。
「くれてやる」
そう言ってくれた花…
しかも、その日は知っていたのか知らなかったのか…私の…
「…」
それを知っていた?
そんなまさか…あの先輩が?
『あんな奴が寄越したものなんて捨てるポヨ!』
「あ…」
私のマナがどこからか現れ、ふよふよと浮きながら言ってくる。
余程、毛むくじゃらじゃと言われたのが気に入らなかったのだろう。
その前にマナに対して、それは失礼だ。
「(先輩もマナとこんな感じなのでしょうか…)」
ハッと、自分の考えていたことに頭を振るった
「(関係ないではないですか!どうして私が!
そんな心配を…いやいやいや)」
『アンナ?大丈夫かポヨ?』
「えっ!?あ…だっ大丈夫です。」
マナに尋ねられ返事を返した。
『なら捨てるポヨ!』
「まっまって!」
花を捨てようとするマナに静止をかけ
「はっ花に罪はないです。罪があるのは先輩です!」
そう、罪がある無いとしたら先輩です…先輩です…
***
「アンナちゃーん!調合用の黒い粉ってどこにしまったっけ?」
「もう、フィロ先輩!あれほど明確にして置いて下さいと!」
「えへへ〜ごめんね〜」
アトリエで読書中に呼ばれれば動くしかない。
読みかけのページを閉じ、近くの棚を調べた。
「ただいま〜」
「うぅ、もう無理。」
「あれぐらいでだらしないぞ!ヴェイン!」
探している最中にダンジョンに採取に行っていた先輩達が帰ってきた。
「おかえり〜」
「お疲れ様です。先輩。」
それぞれに挨拶を返せば、返事が返ってくる。
「頼まれもの採ってきたよ…あ!」
採取物を置いた場所が悪かったのか、そのまま採取した物は床に転がった。
「ヴェイン先輩!あっ!読みかけの本まで!」
巻き込みましたね!
怒鳴れば身を竦めながらも
「ごめん!拾うから!」
「当たり前です!」
そう言いながら自分も拾う…
あー。どこまで読んだのかわからなく…あれ?
本にはさんであったアレが無い…
ばらまかれた採取物の中を探す
あれ?ない?
ハッと見上げればグンナル先輩の手元に…
「あ…」
「…」
きょとんとした顔で、それを見ていた先輩は、私の視線に気付きニヤリと笑ったかと思うと
「そうか、そうか。栞するまで気に入ったか!」
「ちっちがっ!違います!」
「照れるな照れるな!」
「ちがいますったらぁー!!」
「「?」」
ただ、捨てるのも枯らすのも嫌だったから
あの時の先輩の笑顔を消したくなかったから…
「あなたは悪です!覚悟!!」
「はははっ!来るがいい!!」
どんな形でも残しておきたかっただけです。
ただ…それだけです。