錬金・調合駄文部屋 

□創造と破壊の剣
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《創造と破壊の剣》


「これが錬金術の粋を集められた剣…か?」

実際に目にした剣は噂とは違い只、ごく普通のどこにでもありそうな剣だ。
しいて言うならば保管されている場所が特殊というだけ

「こんな辺鄙な場所まで来たが…」

対するように封印されている台座に刺さる剣、その一本に触れようと手を伸ばす…
その瞬間、剣を被うように台座から光の壁が現れ、触れようとした手を遮った

『我が力求めしものよ、何故我らを求む』

光の壁の向こう側から声がする、
まさかな?そう思ったのは間違いではなかった

『我らが力、何故求める?』

剣が話しかけている。
この俺に、思わず口元が綻びる。

「剣ごときが偉そうだな…この俺に指図するとはな…」

おもむろに光の壁に手を当て力を込める。
鳥肌が立つような感覚が全身を襲うが、ゆっくりとだが光の壁の中へと侵入できた。

『結界を!?』
『ほぉ…』
「くっ…」

徐々に剣へと手をのばす、柄に付けられた宝玉のようなものに僅かに触れることができた。
そこからおもむろに柄を掴み台座から引き抜き剣を横に一降りする。
光の壁は断ち切られ剣の封印される台座との距離はゼロになった。

『なっ』
「錬金術の粋を集められた剣…確かに“力”を感じるが」

引き抜いた剣の一本を掲げ、つぶやいた

「これだけか?おまえらの力と言うのは」
『…』
『エラスムスの結界を砕くとは…我ら“アゾット”を使う素質を持つようだな』

台座に刺さったままのもう一本が淡々と言った。

「フンッ…」

抜いた剣を再び台座に刺し直すときびすを返し

「期待はずれだ」
『まあ、まて。アッシュ・F・アーベンスタイン』

剣が自分の名を呼び、振り向く事無く立ち止まる。

『我の名はパラケルスス、先程、おまえが触れたアゾット剣、エラスムスからおまえのデータを読ませてもらった…』
「…」
『ここに来たという事はある程度、我らについて調べてきているのだろう?』

何かを試すような口振りにそのまま答えた

「世界を創造することも破壊することも自在と…」
『欲しいか?その力が』

剣の問いに肩が震え笑いがこぼれる

「くっくく…そんなモノはいらん。俺が欲しいのは俺自身の渇望を満たすこと、貴様等は俺を満たしてくれるのか?」

振り向き、剣を見据える眼は鋭く輝いていた。

『それは我らを望む、おまえ次第だ…我らが主人に相応しいか試させてもらおう』

台座の周りに光の筋が円を描くように光の尾を創る。
何かの気配を感じ、咄嗟に台座付近から離れるとそこからは巨人を思わせる“ゴーレム”と呼ばれる魔物が姿を現した。

「くっくくく…面白い!」

腰に携えていた双剣を抜いた。


*アゾット剣を手にする前の某最強ミストルース

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