錬金・調合駄文部屋 

□残った刻をどうするか
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《残った刻(とき)をどうするか?》


「アーリンはこの後どうするのにゃ?」
「・・・俺か?」

ノルンにそう言われアーリンは言葉を濁した。
宿敵ムルはあんな形だったにせよ、もうこの世には亡く、俺の復讐の旅は終わった。
何をしようとか考えもなしに後は自分の寿命が来るのを待つだけ・・
だが、最後に俺のすべてが始まり、目的の終わった場所を訪れた帰りに仲間だった少女に出くわした。
別れてから数日たっただけだが、相変わらずだ。

「?どーしたのかにゃ?アーリン」

少女は小首を傾げ青年の顔を覗き込む。青年は曖昧に返事をすると

「・・・お前はこれからどうするんだ?ゼルダリアの所へ帰ったのだろう?」

トリスメギストスを解放してから仲間はそれぞれ旅立った。少女もまたその一人で師の下へと帰ったはずなのだが・・
何故か自分の隣にいて会話をしている。
自分の話から無理やりそらす話題に振ると少女は目を輝かせながら

「ノルンはゼルダリア様の教えをもっと自分の物にする為に旅に出るのにゃぁ〜♪、それでそれで旅をしておいしいお菓子を手に入れてお土産にしてゼルダリア様の下へ帰るのにゃぁ〜♪」
「・・・そうか」

笑顔でそう答える少女をとても羨ましく感じる・・俺もせめて、ちゃんとしたホムンクルスなら・・

「アーリンも旅をするのかにゃ?」
「は?」

思わず、声が漏れた

「クレインもリイタも旅に出ちゃったにゃ〜デルサスとマレッタはカボックに残ってるみたいだにゃ〜ノルンも旅に出るにゃ〜なら、アーリンも旅をするのかにゃ?」
「俺は・・・・無理だろうな」
「にゃ?」

再び旅に出るなんて考えてなどいなかった・・。
俺の寿命はもうすぐ尽きるだろう・・それなのにそんなことなど・・

「お前も知っているだろう?俺はホムンクルス・・リイタとは違って不完全のな・・。人並みの寿命があるあいつとは違って俺には・・」

残っている時間は少ない・・。
そう言葉を紡ごうとしたが、やめた。わかりきっていたからだ。

「なら、ノルンと一緒に旅するにゃ!!そして探すにゃ!!」
「・・・何?」

少女の言葉に思わず目が点になる

「ノルンはゼルダリア様のお陰で立派な錬金術師になったにゃ!だから、マナとも契約できるにゃ!!旅していたらあるかもしれないにゃ!!」

その言葉を紡ぐ少女の目には強い光が宿っていた

「アーリンが普通の暮らしが出来る方法があるかもしれないにゃ!!」
「・・・」

普段、のんびりしているのとは違いその表情には気迫があった、思わず押されぎみになる

「ノルンは皆好きにゃ!!だから、皆には幸せになって欲しいにゃ!!アーリンにも幸せになって欲しいにゃ!!」

だから、悲しいことを言っちゃいけないにゃ!!少女の瞳には何時の間にか涙が浮かんでいた。
青年は思わず目を疑いたくなったが、フッと自嘲すると

「そうだな・・それも悪くは無いな・・」
そういうと、少女の瞳に浮かぶ涙をそっと拭ってやった。
「にゃ!!」

少女は嬉しそうに自分の尻尾と耳を立てた、そんな姿に思わず笑みがこぼれる

「残りの時間をお前に渡しておこう・・有意義に使ってくれ」
「わかったにゃ!!さっそくいくにゃ!!」

そういうと少女は青年の手を掴み

「一緒に行くにゃ〜」

と微笑んだ。
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