その他著権駄文部屋2

□ある日の“日常”と“完成させるべきもの”
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「さすけ?」

思わず名を呼んでしまった
御勝手に居るなんて思わなかったからだ
傍へと近づき隣に並んだ
集中しているのか此方に気付いていないようだった
何となく話をしていいのか迷っていると
此方に気付いたらしく

「弁丸様…何時の間にいたんですか?」

と目を点にさせていた

「さきほどからいたぞ!でもなにしてるのだ?こんなところで?」

手元を見れば一目瞭然だが…
あえて聞いた
何処かキョトンとした顔で

「なんか…急に作りたくなったんで借りたんです。」

と言いながらも片付け始めた
しかし
片付ける一方で美味そうな一品を食べるわけでも勧めてくれるわけでもなかった
何故だろう…
きになった

「…たべぬのか?」
「作りたかっただけなんで」

つくりたかっただけ?
一品を眺め、何度目になるのか首を傾げた

「佐助殿。昌幸様がお呼びです」

そんな中、同じような忍が姿を現し佐助を呼んだ

「御意。弁丸様すみませんけど俺行きますね」
「うむ。」

忍と共に出向きに行ったその背を見送ると
あらかた片付け終わった中で一品だけ残っているのに気付いた

「…」

腹が鳴った
たべていいだろうか…
そんな事を考えていると
多分、さりぎわにでも伝えていたのだろう
女中が一人やってきた
此方に一度頭を下げ、女中は片付けの仕上げをしていた

「それ…すててしまうのか?」
「佐助殿が処分しておいてくれと申されましたので…」

一品の料理まで捨てて片付けてしまおうとする女中に思わず声をかけた
少し困った顔をしながらも女中はそう言った

「さすけがか?」
「はい。佐助殿が…」

もったいない…
捨てるならば…

「それがしがたべる!」

駄々をこねた
女中は困った顔をしながらも

「それは…このような事を申すのは失礼と思いますが…佐助殿がお作りになられたものですから…」

と言いながら片付けてしまった

「…」

さすけがつくったから…
たべてはいけない?
なぜ?
捨てられてしまった“モノ”が入った入れ物をジッと眺めた
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