その他著権駄文部屋2

□ある日の“日常”と“完成させるべきもの”
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「…」
「!」

服の裾を引っ張られ身体がびくついた
小さなため息が漏れた

「弁丸様…何時でも忍になれますよ」

また
背後取られた…
あきれ気味に振り向けば
何処か真剣な顔をした主君の姿があった

「弁丸様?」
「さすけはりょうりがすきなのか?」
「へ?」
「いまだってつくっているではないか」

そう言われればそうだ
ふと、作りたくなり御勝手を借りた
けれど料理が好きというわけではない

「料理が好きってわけじゃありませんよ?」
「ちがうのか?」
「“作りたい”そう言う衝動に駆られるんです偶に…」

“忍”は壊すことが仕事
物だろうが命だろうが破壊して任務を全うする…
だから
一時、何かを“生み出したい”気持ちになる

「料理じゃなくてもいいんです。菜園とか何でも…まぁ…俺にはコレがあってるみたいで…だから作るんです」
「ならなぜたべないのだ?せっかくできたものを」
「“作りたい”だけなんで後はどうでもいいんです。その時に腹が減っていたら食べますけど…」

それに

「“俺”が作ったものなんて食べたくないでしょう?」
「なんでだ?」
「なんでだって…忍が作るものですよ?色んな意味で汚いでしょ?」

普段から“壊し”
その手は幾ら洗っても汚れている…
そんな存在が作ったものなど食えたものではないだろう…

「…かわやにいっててをあらってないのか?それはたしかにふえいせいだが…」
「洗ってますから。失礼な!」
「しょくざいがわるいのか?」
「悪くありませんよ。新鮮ってわけじゃありませんけど」
「ならなにが“きたない”?」

えー
説明しなきゃいけないと…
小さなため息が漏れた
小さな子って何でも聞きたがる

「んー…何ていうか…。精神的に不愉快とか感じません?“道具”が作り出すんですよ?血に塗れた“道具”が。」
「べつにかんじぬ。どうぐともおもっておらぬ。うまそうだからたべたいとそれがしはおもうだけだ」

…。
眩しいなぁ
本当…

「まずいのか?もしや?」
「さぁ?」
「…たべたことないのか?」
「腹が減ったら食べますけど…腹に入れば同じですから」
「…」

味とか考えて作ったことなかったな…
取り敢えず作れればいいだけだったし…

「…りょうりというのはだれかにしょくされてはじめてかんせいといえるのではないか?」
「…そうですね。その通りなら俺の作る料理は完成はしませんね。でも、構いませんよ。」

ただ
作れればいいだけだし

「なら…それがしが」
「あ!」

作りかけのモノを一口食べられてしまった
ちょっ…

「さすけのりょうりをかんせいさせてやる!」

もう少し濃い味の方が好きだ
そう言いながら小さな主人は笑った
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