その他著権駄文部屋2

□“縁”と輝きと“誓い”
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「…」

血と屍
ベッタリとまとわり付く“赤”
堪らなく気持ち悪く染まった大地にうんざりで
空を見上げることが多かった
まばゆい日差しの時もあったし
夕暮れでもあった
星や月の輝く時でもあったし
何もない時もあった
自分は忍と言う名の“道具”で生まれた
ただ“命”に従い、動き
魂(いのち)をかけた

「…」

大地に目を向ければ
同じように生き、散った同じような“道具”
“命”に失敗れば蔑まれ
例え生き残っても新たな“命”を与えられ
何がいいか…
何が悪いか…
正直どうでもいい
ただ
“忍”として生まれ
“道具”として生きる

「…」
「佐助。お前の主が決まったぞ」
「…」
「…ついてこい」
「…承知」

恨んだことは一度もない
そう生まれたのは己
その道を歩いたのは自分
されど




「この者の名は佐助。年は若こうございますが…里にて随一の能力を持つものにございます」
「…」

ああ
ムカつくね
一番、見られたくない“目”だね
哀れみや蔑む感情…
当たり前の枠付けで見られるのは一番嫌いだ

「私の名は武田信玄公が家臣、真田昌幸…。以後宜しく頼む」
「…承知」
「佐助。貴殿には昌幸様に忠誠の意を込め“猿飛”の姓を名乗ることを許可する」
「…有り難く。この“猿飛佐助”この命尽きる迄…御方の為に働きましょうぞ」

頭を下げ、小さく舌を出す
悪いね
嫌いな輩に仕えられる程
俺様は寛大じゃないよ
枠組みでみるような奴にだけは仕えたくない
例えそれが与えられた“道”だとしても

「早速だが…そなたには我が息子、弁丸に仕えてもらいたい。戦も多く出払うことが多くてな…屋敷が手薄になりやすい…息子が少々心配でな。」
「…」

おいおい…
早速が子守かよ
厄介すぎるモノ押しつけるなよ

「後に息子を此方に寄越そう。それまでに屋敷を使用人に案内させ「ちちうえー!!」

軽快に戸が開かれ、小さな身体に不釣り合いな槍を持った子供が一人

「弁丸?!」
「このべんまる!やりをあつかえるほどつよくなりもうしたー!!それゆえにそれがしひとりでもだいじょうぶにございまするー!」
「は?っ!弁丸?!こら弁丸!!」

それだけ叫んだ小さな嵐が過ぎ去った
知られぬ様にため息を洩らす
あんな小さな子供にでも理解できる程…
“忍”は異質で陰湿で

「(汚いんだね…)」
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