その他著権駄文部屋2

□一つの変化・・一つの“希望”・・
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「やはり居ないか…」

柱に頭を預け小さく笑みを浮かべた
誰も居ない御勝手(台所)に懐かしい光景が浮かぶ
初めて見たのは幼き日…
それから暇な時は何時も、ここで作っていてくれた
されど今は…
無い

「このような夜更けに如何なされましたか?」
「甚八殿…」

現われた“者”に然程驚くことは無かった
何処か淋しさを感じた

「貴方様の御心…揺れ動いておりますな…」
「…」
「…幸村様。我らは“道具”…。あるべき感情は己が判断で行動に出る為の動力に過ぎませぬ」
「某は…そなた達をその様に思ったことは一度もない!!」
「…」
「くだらぬ事は言わないで頂きたい…」
「申し訳ありませぬ…非礼お詫びいたします」

頭を垂れる、その姿に浮かぶのは全ての感情が込められた瞳を向けた“忍”と重なった

「…甚八殿…佐助は…」

言葉を濁す
続きがでない

「…いや。なんでもない。すまぬ…」

あの状況であのような態度を見せたのだ
分かり切っているはずだ…

「長ならば現状の流出を防ぐ為、目を光らせておいでです」
「…そうか」

某の腑甲斐なさが…
苦しめる
何もかも…

「某には重いな…託されたものが…」
「…」

お館様の意志…
甲斐の行方
複雑で重い…

「なれど…成さねばならぬ…な」

懐かしい光景
すでに存在はしない
されど
今だに残る暖かな“記憶”…

「いい加減…休ませてやらねば…揃って退職願いをだされそうだな…」

縋りはしない
とり戻しもできない






「武田が総大将!真田源次郎幸村!総大将の首が欲しい者共来るがいい!!某は逃げも隠れもせぬ!」

高らかに戦場で吠える
怒号溢れる中で背中に温度を感じた

「…大将。」
「…」
「後方から敵が攻めてきている…」
「…動かせるか?」
「承知」

馴れ親しんだ
かつての会話は今はない
一つの将と一つの忍
対等に相容れぬ存在

「佐助」
「…」

なれど

「頼むぞ…」
「…人使いの荒いことで…」

全てにおいて
新たに生み出すことは…






※捏造勇士は本来は佐助の部下ではないです
別部隊みたいな?
捏造勇士の根津甚八は盲目の忍です。
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