錬金・調合駄文部屋 

□想い続けたその気持ち
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《想い続けたその気持ち》


「・・・・」

巨大なドラゴン系のモンスターの骨で出来たと思われる物で、出来た道を進む。
何処か焦りながらも慎重に先を進んでいく。
一歩でも踏み間違えれば、遙か下に落ちてしまうから・・

「(大丈夫だよね・・)」

あの後、馬鹿みたいに泣いたらすっきりした。
でも、どうすればいいのか分からず・・ただ悩んでいた。
悩んで悩んで・・それでも・・
そう決めた時、何時も彼がいる場所へと足を運んだ。
居るとは限らなかったけれども・・
そして見つけた、不自然に此処まで続く血の痕を。
居てもたっても居られずに、それを便りに今に至る。
途中で魔物の屍骸を幾つか見つけた、多分・・・間違いなく居ると確信した。
先へと進む

「!?」

あ・・・。
進む先に数人の集団がいた。

「でも、本当に宜しいので?」
「構わないだろう?」
「でっでも・・」
「ぷにぷにに」
「敵に情けは無用・・そう妹も鼻息を荒くしています。」
「もーいいじゃん!おわったんだしー!それよりさっさと帰ろうよ!ロゼ大変なんだから!」
「それもそうね、安定した場所でイカロスの翼を使うわ。」
「えぇ・・でも・・」
「ねぇ!!ちょっと!!」

その集団に近づき声をかけた。

「なんだ?」

その中でも長身の・・人間?に見えるけど明らかに違う男が、此方を睨む。
負けじと

「あんた達、ルゥ見なかった?」

ルゥを!!
銀髪の・・そう、特徴的なことを言う前にメイドの格好をした男と同じ様な女が

「あ・・もしかして、ルゥリッヒさんのお知り合いですか?」
「!?」

ルゥの事知ってるの?
そう言えば、他の人間は怪訝そうな顔をした・・
なっ何よ・・・

「よかったです。どうしようかと話していた所で」
「は?」

そういいながら

「これどうぞ」
「あっ!ウィム!!」
「はっはぁ・・」

手渡されたのは、沢山の薬や包帯・・簡単に言えば救急セットだろう。

「あなたね・・」
「だってお嬢様・・」
「・・・」

えーと・・

「お前の捜している男ならこの先でのびているぞ。」
「!?」

のびてるって!!

「ちょっと!!あんた達、そのまま見捨ててきたの!!!!」
「助ける義理は無い。此方も傷を負わされたのだからな」

男は、自らの背中を差すように顎を動かした。
男の身長で見えなかったが、その背中には他の子達と同じ年頃の少年があどけない表情で眠っていた。

「でも、よかったです。お知り合いの方が来てくれて。」

メイドは明るく微笑み。

「じゃあ、これで心置きなくお暇出来ます。」
「・・お前も、存外に黒いな」

そう、一礼され、その集団は自分の来た道を歩いて行った。

「ちょっと!!!!!」

去り行く集団に叫んだが・・
既にそこには居なかった。

「ちょっ・・っ!!白状者!!」

聞こえる事無く叫び、駆け出す。

「・・あの、ルゥが?」

負けた?
信じられない・・あの強いルゥが・・
そして、見つけた。

「ルゥ!!」

貰った薬を投げ出し、うつ伏せに倒れているルゥに駆け寄り

「ルゥ?ねぇ・・ルゥ?」

身体を揺らす。
生きてるよね?

「う・・」
「ルゥ?」
「サ・・・サリナ?」
「よかった!気づいた!!」

安心感で目に涙が浮かぶ。
動けそうに無い彼の身体をゆっくりと仰向けにしてやる。

「本当に心配したんだから・・」
「・・・」

うー。
涙がボロボロと流れ泣き喚くのを必死に堪えた。
でも、嗚咽は漏れる。

「うー、心配したんだからぁ・・」
「・・・サ・・サリナ?」
「なっなに?」

今は話す事さえ億劫といった風だったが私の名を呼び

「もう・・少し・・静かにしようよ・・」
「え?」
「折角の・・気分が・・台無しだよ・・・。相変わらず・・騒がしい・・んだから・・」
「・・・」

何よそれ・・何よ・・

「っ!・・・あ・・」
「うー・・ひっぐ・・何よそれ・・何よ・・心配しちゃいけないの!!!!!」

先程よりもボロボロと涙が零れる

「だって・・けっ怪我してるんじゃないかと、心配してたのに・・」
「・・・」
「きっ来て見たらルゥ・・たっ倒れてるし・・いっ一度もそんなの見たこと無いから心配して・・」

うっひっぐ・・えっぐ・・
涙とか何やらで顔がぐちゃぐちゃになってるのも構わずに

「ずっと、追いかけて憧れて大好きなルゥが負けたとか・・っぐす、信じられなくて・・うー」
「・・・・」

だからだから・・余計に・・

「・・・・ごめん」
「?」

えっ?
小さく呟くように聞こえた言葉。
本当に小さくて・・でも、はっきりと聞く事の出来た

「ちょっと・・休ませてよ・・・」
「っぐす、ルゥ?」

そのまま、瞳を閉じたかと思うとすぐに寝息が聞こえてきた。
戦闘の疲労が残っている所為だろう・・

「っぐす」

涙で顔をぐちゃぐちゃにしながらも

「お疲れ様・・ルゥ。」

あどけなさを残し、眠る彼にそう、微笑んだ。
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