捧げモノ&素敵頂きモノ駄文部屋1

□ミルク色のスイーツ、無自覚が自覚する
2ページ/5ページ



「…今年は、こんな感じにしてみました」
「おいしそぉ〜♪」
「ぷにぷにに」
「さっ流石ね」

テーブルに並べた数々のチョコレートを使った菓子にアトリエの女性メンバーは黄色い声を上げる。
毎年、お嬢様に作らされるが今年は学園に居るだけに他のメンバーの分も増え、作る量が倍だった。
喜ぶ面々を余所に溜め息を吐く

「お嬢様〜。お茶もどうですか?いい茶葉が手に入ったんですよ〜!あれ?ロゼさん」
「あん?」
「ご自身のチョコは無いんですか今年?」

ヒソヒソとウィムが耳打ちをしてきた。
…よく、見てる奴だな。
毎度、作らされる自分に少しは、ご褒美ぐらいあってもいいだろう?
だから、こっそりと作っていたりするが。

「あー。まぁな…」
「?」

今回は…
ちょっと…



※※※



何時もよりも多めに与えられた材料と戦って数時間…
漸く仕上げの段階までこれた

「後は冷やして固まるのを待てばいいな…」
「…」
「う〜」
「っと。その間に…あっちを仕上げて…」
「…」
「うー?」
「えーと飾りは…。と言うか。何見てんだよ?」

独り言を言いつつ作業の計画手順を復唱していれば
痛い程の視線を先程から感じていた…
無視するべきかと頭の隅にいれてはいたが
しつこい視線の痛さに音を上げた。
向こうも我に返ったのか

「べっ別に通り掛かったらいい匂いがして来たから…何してるのかな〜?と見てただけよ。」
「う〜」
「…そうかよ。」

慌てた様子で言いながら明後日の方向を向いた。
マナも同じような動きをして、明後日の方を向いた
なんなんだ…
こいつら

「…用が無いなら帰れよ。」
「む。相変わらず嫌味な奴ね!用はないけど、そこまで言われたら居てやるんだから!」
「う〜!!」
「…なら、邪魔だけはするなよ」

念だけ押して作業に戻った。
その間も中々痛い視線を感じたが
ふと

「…それって誰に作ってるわけ?」

そんな事を聞かれた

「あー。お嬢様にだよ。毎年作らされるんだ。」

今回はプラスαって感じだけどな…
考えれば何だかどっと疲れが…

「ふーん。あんたも大変よね。毎年作らされてるんだ」
「まぁな」
「…チョコレートは半額品でいいと思う。」
「…」

は?

「作る手間とかよりも、お店でやってる半額セール品の方が色々お得だし美味しいと思う!!」
「う!」

おい、凄いオーラが見えるぞ…
ウルリカに圧倒されながらも、作業する手を止める気はなかったが
あ、もしかして…
気付いた時には手が止まった。

「…お前。欲しいのか?」
「!!」

やっぱり…
図星か

「べ、別に!」
「…食いたいなら、はっきり言え」
「うっ、たっ食べたいわよ!美味しそうなんだもん!」
「…」
「なっ、何よ〜」
「何も言ってないだろ」

ったく。
可愛げがあるのか無いのか…
本日何度目かになる溜め息を混じらせながら
調理用の素材が置かれている冷蔵庫を開け

「ほらよ。」
「へ?わっ!!」

取り出したものを投げ渡した。

「ちょ、いきなり投げないでよ!」
「やる。」
「え?」
「…まだ、作業見るつもりなら邪魔だけはするなよ」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ