雲の行き先

□二人で聞いてた独り言
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『ねぇ、望ちゃん…聞こえる?』


―――あぁ、聞こえておるよ。

その、
相変わらずやさしい声は―――








二人で聞いてた独り言











『今日はね、ナタクと遊んだんだよ』


(平和主義と戦闘主義が交わるなんて珍しいのう)


『乾元山に行ったら、太乙、色物集会に出かけていてさ、ナタクはお留守番してたんだよね』


(まだそんな集会存在してたんかい)


『なんだか僕みたいだなって、つい笑っちゃったんだよね。そしたら怒られちゃった。何がおかしい、って』


(あやつは短気だからのう…)


『それで、強いのか?って聞かれたんだけど、どうだろ? 僕って強いのかな?』


(それは時と場合によるのではないかのう?)


『よく分からなかったから、君が決めるといいよって、とりあえず核融合してみたんだ。』




(…へ?)



『そこでもね、一番小さいのにしようとしたら間違って少し大きくなって。
……乾元山、壊しちゃった』


(またか…)


『帰ってきた太乙が可哀相だったんだ。壊れたナタクを直そうにもラボも壊れてて。
…ナタク、大丈夫かな』


(まぁいずれ治るし、良いのでは?)


『…それで、ね、ナタクを大事そうに抱いている太乙を見て、ほんの少し、うらやましく思ったんだ』



(………。)


『ナタクのお留守番は、終わったんだなぁって。』


「…………。」



『ねぇ、望ちゃん、望ちゃんは僕が良い子にしてたら、帰ってくる?
そしたら僕、うんといい子でいようと思うんだ。もちろん乾元山も、もう絶対壊さ』


「普賢、―――会いたくなったから、帰る。桃と茶でも用意しとけ。」


『…うん。ゴマ団子も、出しとく。』


「すぐ、行く。」


『うん。…待ってるよ。』


「だあほ、もう、待たんでいいわ。」









彼の寂しさを埋めるモノは他にもたくさんあるかも知れないけど、


でも。


わしが埋められるのだから

ちょうど手の届くこの場所に、おるのだから…






久しぶりに見る彼の目の下が赤くなってしまっていたら、


《ただいま》と一緒に、そっと、撫でてやろう―――














あとがき。

久しぶりの新作お披露目は家出中の伏羲さんとお留守番普賢さんでしたv

伏羲さんは朱植木に何故か家出扱いされてます。
サイトに載っけてないですが、伏羲さん、以前は紫陽花見て恋しくなって普賢さんとこに戻ってました。完全に家出状態です。

今回なんかも理由は不明です。
なんとなくふら〜、かもだし、
原作終了後ずっと戻って来なかったけど、かもだし。
その辺はご自由に考えてください。

あ、普賢の太極府印には望ちゃんの声を拾える便利な機能が搭載されています。
しかもちゃんと居場所の特定も可能。
望ちゃんが中国から離れれないからこそギリギリ使える機能です。
…勝手な空想ですが。

でも、この設定はオイシイと思ってますゆえ是非使ってやってくださいませv(笑)




それではここまで読んでくださり、ありがとうございました!!








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