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□日向恵の妄想
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岩と枯れた低木だけが点在する乾いた荒野に、不意に少女の凛とした声が響いた。

『大地を巡る風よ、我が敵を滅するのだっ!』

ケイが頭上に掲げた杖を、びしっと前方に振った。
彼女の周囲でにわかに風が巻き起こり、一直線に目の前の巨大なスライムに襲いかかる。
プルプルしたスライムの表面が急速に乾燥し、白く変色してひび割れてゆく。

『ミヤビ、レン、今だ!』

杓杖を片手に、ユウトが叫んだ。
今なら、直接的な攻撃も効くはずだ。

『了解、まかせて!』

『ハスっ、行くよ!』

呼ばれた二人と一匹は、一気に攻勢に転じた。

『はぁああっ!!』

『やぁあ!』

確かな手応えとともに斬撃が見事に決まり、スライムは脆い土塊のように崩れ去った。



「…―と、こんな夢を見たのだ!」

すっかり行きつけの喫茶店で、恵が楽しそうに目を輝かせた。



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