オリジナルの本棚

□ポテチ
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部室の棚に真新しいトロフィーを飾りながら、檜山恭也は小さな溜め息をついた。

『全国高校演劇コンクール準優勝』

そう書かれたトロフィーが、棚にはすでに4つも並んでいる。
顧問の野崎先生率いる演劇部、通称“劇団ノ座”には近年、万年準優勝校という、どうにも今一つな地位が定着しつつあった。

「ぉ、いたいた恭也」

不意に声をかけられて、恭也ははっと我に返った。
しかし振り返る間もなく、背後から伸びてきた腕にがっと首を絞められる。

「やっぱ、ここだったか」

そう言って、東雲周はぐいぐいと恭也の首を絞め上げた。

「おいっ、バカ!ホントに絞まって…!」

容赦ない周の戯れに、恭也が焦って声を上げる。

「あ、悪ぃ」

「ったく、お前の友情表現はいちいち激しいんだよ。もし人違いだったら、どうすんだ?」

腕を外してへらへらと笑う周を、恭也はジト目で見返した。



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