ロマサガ浪漫細工

□新約 raGnARok 〜神々の戯れ〜
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「いいじゃないですか、見たかったんですから」

唇を尖らせて拗ねたように言い返すと、エロールは再び巨木の幹に背を預けて座り込んだ。
帽子のつばをぐいと引っ張り、まるでいじけた子供のように口をつぐむ。

『…まったく』

言うだけ言って黙ってしまった相手に、シリルがため息をついて枝を揺らす。
なぜ、この精神年齢の一番低い男が“神々の父”と呼ばれているのか。
彼にはときどきわからなかった。
穏やかな風が、二人を取り巻いて吹きすぎる。
エロールの帽子のふちで羽飾りが揺れ、木々の葉が心地よく鳴った。
彼等のやりとりを、巨木の裏側で聞いていた銀狼は、これが喧嘩ではないことを知っている。
止めに入るまでもない、戯れ。
彼女はクスッと笑うと、一つ大きく伸びをした。
神々の時間は、この森のように、穏やかで緩やかだ。


fin
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