ロマサガ浪漫細工
□新約 raGnARok 〜神々の戯れ〜
4ページ/8ページ
『わたしには解りかねる。ずっとここから世界を観てきたが、人は何年経っても同じ過ちを繰り返す…』
話題を変えて、シリルは溜め息混じりに呟いた。
「だから私は、こうして人々に昔話をするんです。
先人とは少しでも、違った道を歩めるようにね。
私に言わせれば、観ているだけの神々は無責任ですよ?」
幹に背を預けるようにして巨木の根に座ったエロールは、真面目な口調で穏やかに微笑んで見せた。
『………そうかも知れんな』
突然返された大真面目な回答に、シリルは一瞬面食らった。
どんなにチャランポランに見えても、“神々の父”を侮ってはいけない。
『ところでエロール、君がいつも身につけていた、アメジストはどうしたのだ?今日は持っていないようだが?』
まるで小首を傾げるように、軽く小枝を揺らしながらシリルが尋ねた。
ディステニィストーン“幻のアメジスト”
それは、先の戦いで戦士ミルザを勝利へ導いた宝石。ペンダントになっているその石を、身につけて管理していたのはエロールだ。
「あぁ、あれね…」
一瞬ぴくりと肩を震わせ、エロールが曖昧な笑顔を見せた。
「人にあげてしまいました」
『はぁあ…っ!?』
思わず、シリルが素っ頓狂な声をあげる。
巨木の梢にとまっていた小鳥たちが、驚いて一斉に空へ飛び立っていった。
.