ロマサガ浪漫細工
□新約 raGnARok 〜神々の戯れ〜
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「旅をしていて路銀が尽きたので」
『君は、あの石がどれほど大切なものか知ってるだろ!?』
あまりにも平然と答えるエロールに、シリルは我知らず声を荒げた。
ディステニィストーンは、神々の戦いに用いられた、いわば魔石。
力が悪用されることを恐れた神々は、戦いの後に、それぞれの石に守護者をつけて管理した。
はずだった…。
「当然じゃないですか。
ガラハドのアイスソード、20000金、疾風の靴、30000金、幻のアメジスト、売買不可《プライスレス》でしょ?」
指折りしながらそう言うと、エロールは首を傾げて巨木を見上げた。
『お金で買えない価値がある、か…。
…なるほど。
ッいやいやいや!
何もわかっていないじゃないか、エロール!?』
すんでのところで、エロールの巧みな話術に気付いたシリルは、枝を揺らして慌てて言い返した。
『……危うく乗せられるところだった…』
そして独り言のようにぽつりと呟く。
どんなにアホに見えても、“神々の父”を侮ってはいけない。
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