青の言葉(18)
□トンボ
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「乗れよ?」
そんなオレの言葉に、きみは少しスカートを気にしながらも、オレの後ろに乗った。
きみはオレの肩に掴まり、自転車の後ろに立つ。
たまにぎゅっとオレの首に手を回しながら、楽しそうに笑った。
「見て見て〜!」
そんなきみの声に、オレが少し視線を後ろにやると、視界に手を広げているのが見えた。
「ばかっ!危ないって!」
それでも楽しそうに笑い続けるきみに、気を付けながら運転しているオレもバカっぽく笑う。
きみが今立ってる二人乗りする為の道具はさ、もう少し田舎に入ると「トンボ」って呼ぶんだよ?トンボが羽広げてるみたいだろ?
そんな事を言おうとした時きみが
「なんだか空を飛んでるみたい」
なんて言うから、オレはつい吹き出した。
「お前がトンボかよ」
「ん?」
あの頃の二人は空も飛べたんだ…。